フールのサブブログ

PFCS 用のサブブログです。黒髪ロング成分はあまり含まれておりません。

旦那モドキとは

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旦那モドキ

 ドレスタニア王宮に住んでいる謎の生物です

 飯さえ食わせれば雑用を一通りこなしてくれます。特に掃除が好き。
 雑用の合間によくカエルとかの解剖をしています。そっとしておきましょう。そのうち掃除しだしますので。
 たまに高い声で「はよ、はよ」とか「そうじ」「カイボー」とか言ってます。

 ドレスタニア王宮に沢山いるっぽいので一匹位頂けると思います。

 因みにご飯をあげるとすり寄ってきます。害はありません。


 ━━実際にクロマさんが観察したそうです━━




●クロマ(何だろうこの生物。誰かに似てるけど)




 「ソウジ!」「センタク!」「メシ!」「カイボー」

 王宮ではぶつくさ言いながら掃除してます。割りと楽しげ。人とぶつからないように頑張ってます。因みに奴とはほぼほぼ無関係。



●クロマ(しばらく見ていよう)



 せっせせっせと雑用をこなしていきます。

 ……城の庭にカエルの死骸が落ちていただようです。一斉に群がって解剖をし始めます。

「メス!カイフク!イジョウナシ!シインタゾウキフゼン!」



●クロマ(壮観だな)



 満足したら、もうスピードで掃除して、塵一つなくなりました。

 「メシノジカン!」「メシノジカン!」「メシッ!ハヨ!ハヨ!」

 昼時になり、一斉に食堂へ向かっていきました。因みに一列に並んで、人が通ると道を譲り、大変行儀がよさそうです。



●クロマは定期的に観察しに来るかと決意して帰って行きました。



 厨房のおじさんが「急かすな!急かすな!今うまいもんを持ってくるからよぉ!」

旦那モドキーズ「はよ!はよ!」「はよ!はよ!」「はよ!はよ!」「はよ!はよ!」「はよ!はよ!」


 クロマの去ったあとに、旦那モドキの人だかりが厨房の回りに出来あがりました。

 このあとおじさんが大鍋を持ってくると、学生食堂みたいに勝手に旦那モドキが配膳していき、食事の用意とかも全部自分で行いました。料理の量は半端なく必要ですが、雑用はやってくれるので人手はあまり必要ないのです。

 食べ終わると自分で食器を回収し、おじさんに返し、満足して帰っていきます。


━━観察終了━━


結論:旦那モドキとは➡便利以上の何かです。

 ただし、食費が半端なくかかります。一般家庭で買うのはまず無理です

 ペストマスクに見える頭で鳥のように口を開きパクパク食べます。不味くても別に何とも思いませんが、ある程度美味しいときは「ウマイ!ウマイ!」と料理を誉めてくれます。公正公平なので、料理コンテストにも審査員に抜擢されました。
 ……満足するまでに数人前を軽く平らげますが。

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 そのため、安定して食事を供給できる王宮にしかいません。

 ドレスタニア王宮にはそれが何匹も居座っています。

 食費さえ出せれば確実にリターンはそれ以上です。とはいえ、数も少ないので見つけるのがまず大変、というデメリットも……。

 因みに生活条件がいいとペアでどっかに消えて、帰ってくるときになぜか何匹か増えています。生活環境が厳しくなると、いつのまにかいなくなります。

 野生はレアなので、家出した旦那モドキは大抵どこかの王宮やらなんやらに捕獲されて、またそこで雑用を始めます。そうでなくても、勝手に居場所を見つけて居座ります。以下ループ。

 多分クロマさんクラスの方なら容易に手なずけられるでしょう

 因みにこいつが消えると破産のサインです。気を付けましょう。

ドレスタニア・アンダーグラウンド

概要:実は長田さんのかいたss


登場人物

解剖鬼:自殺志願者の安楽死を生業とする死の医者。法律的には大量殺人犯。

ガーナ
ドレスタニアの元国王。冷酷非情とまで言われ、超有能な人。その過去を知るものは少ない。


━━

 「…これは私でも手遅れだ。そもそも、怪我や病の類いじゃないな」

 長身でずっしりとしたコート姿にペストマスクをつけた医者が顔を背けるそぶりをする。牢に閉じ込められた鬼は呻き声をあげながら壁を引っ掻き続けた。通路に鳴り響くガリガリと爪の反響する音は、一人の物ではない。

 「治すつもりならわざわざ貴様なぞ呼ばん。意味はわかるな」

 冷徹な国王は金色の板が詰まったトランクケースを見せるように置き、数歩離れる。

 「悪いが、拒否権はないと思ってくれたまえ。勝手に我が国で好き放題やってくれた前科もある。バレないとでも思ったか」

 「つまり…殺せ、と。自分の手は汚さず、殺人鬼に犯罪者を裁かせる…そういう腹か?」

 「理解しているなら急いでもらおうか。時間が惜しい」


 マスクの医者は小さく舌打ちをする。


 「鬼畜め…。生憎だが断る。他を当たることだ」


 牢から伸びた手が、弱々しく医者の髪を掴む。掠れ、震えた声で言う。

 「ダメだ……殺してくれ……頼む……」

 医者は首を振った。

 「……未練はないのか。この男に閉じ込められ、拷問の痕まで酷く残っている。こんな生殺しのような仕打ちを受け、殺されていいのか…!?」

 国王は眉ひとつ動かすこと無く、その光景を無表情で見ている。

 「愚かにも不老不死を目指した成れの果ての姿がその者共だ。早く楽にしてやれ。見苦しい。」

 他にかけてやる言葉はないのか。医者は拳を強く握りしめ、王を睨み付けた。

 牢の鬼はわずかに笑った。

 「お医者さん…いいんだ…。死んでもそいつは恨み続けてやる…。あの世って奴があるなら…俺たちがそいつを八つ裂きにするさ…」

 医者は鬼の目を見た。死ぬ気などない、強い意志を持った瞳をしていた。

「…」

「未練を持ったまま死ぬのが幸せな奴もいるのさ……」

「ありがとよ」

 最後に彼はそう言っていた。幸せそうな顔で、殺気を放ったまま死んでいった。
 そのまま全ての牢の犯罪者達を殺していった。
 全員、全く同じ死に顔をしていた。

 王を呪い殺してやる、そう強く念じたままに、次々と死んでいった。

「これでいいんだろう、外道」

「あぁ、助かった。」


そのまま立ち去ろうとする国王の背に、突如、意思に反した殺人衝動が沸き起こった。気づけば医者は、王の身体をメスで大きく切り裂いていた。


「…何…!?」


困惑の声を漏らした者は、医者の方だった。


「やはりサバトと化したか…。」


 赤く熱を帯びた剣が医者の背後の黒い泥を焼き焦がす。医者は切り裂いた国王の腹部にある、『牢の鬼と同じ傷跡』を見ていた。
 死を願う程に苦痛を感じる筈の傷は、背後の泥に共鳴して脈を打っている。

 「その傷は…一体なんだ…」

 メスをコートにしまう。困惑しているせいで、何度か入れる場所を間違えた。

 「知る必要はない。」

 傷を押さえる手が、血が出るほど強く腹部に食い込んでいる。

 「…また手がつけられなくなったら協力してもらう。」

 王は再び背を向けた。

 帰り道は誰に出会うことも無く、港を出ても何の問題もなく船でのんびりと帰れた。
 医者は表情ひとつ変えない王の顔を思い出す。
 良く考えてみれば、あの顔は無表情ではなかったのだと気づいた。

 憎まれることも知り、呪われることを承知で、王は見ていたのだろう。

 金塊に映るマスクを見て、医者は呟く。

 「彼も…既に手遅れだろう。しかし…裁くのは私ではない…」

 金塊を、今日の死者の数だけ海に投げていく

 「本望なのだろう。ドレスタニアの『王様』は」

 沈んでいく金塊の中、私は一つ余分に投げ込んだ。




END

とある密輸商の独白

 俺は老人。名前はない。90代前半の精霊。国際指名手配者。仕事は密輸、闇取引、交渉、斡旋、暗殺……まあ、色々だ。金が手にはいるんだったら何でもしやす。まあ、それなりに信念はありやすがね。
 好きなものは金と義理。嫌いなものは『有利になると調子に乗る悪党』。

 まあ、自己紹介はこれくらいにしておきやしょう。

 今回は俺の仕事の中でも一風変わったものを話したいと思います。まあ、暇潰しにでも聞いてくだせぇ。


 先日、奇妙な植物を検挙した。サグヌ草━━名前だけつけられているものの詳細は一切不明だった。俺は密輸に関わるような草は大体把握している。何者かが新しい麻薬を開発しようが俺に入ってくるはずだ。
 不自然に思った俺は、図書館でこの草について調べるよう部下に指示したが、結果は散々だった。



 くしゃみが止まらない。どうやらこのサグヌ草はくしゃみを誘発するようだ。気が散りやがる。今度ペストマスクの旦那にお願いして鼻を治してもらうか……。

 俺は植物を専門とする精霊に話を聞くことにした。ルウリィドの商人を経由して精霊サラトナグに手紙と共に包装したサグヌ草を贈る。『この草に関して、知っていることを教えて下さい。相応の報酬を払う』と。



 事態はより悪化した。精霊サラトナグでさえ、詳細についてしらなかった。ただ、こいつの毒によって引き起こされるくしゃみの対策法に関してはわかった。一応ガーナに伝えておく。

 さらに、サグヌ草には意図的に毒が仕込まれているということもわかった。どこまでもヤバそうだ。

 犯罪シンジケートを使ってギャング精霊、ノア教等の有数な犯罪組織にも聞いてみたが、この草に関しては何も知らないらしい。どこの組織でも取り扱っていない、大精霊ですら知らない、突如として現れた新種の草。
 推測されるのは一番ヤバイルートだ。ガーナの旦那ならなにか知っているかも知れない

 サラトナグからの情報を元に、サグヌ草に対する防護マスクの開発をアンティノメルに依頼する。アンティノメルはギャング精霊と共同してマスクを開発した。さらにこれをカガクに詳しいグレムに改良をお願いする。

 こうして俺は、苦難の末に手にいれた至高のマスクを手に、ドレスタニア王宮に訪れた。



 ドレスタニア王宮にてガーナ王と謁見する。
 「王の旦那。先日お知らせしたサグヌ草、それと対策用のマスクです」
 車イスに乗っているのにも関わらず尊厳に満ち溢れている。旦那はマスクをつけると、サグヌ草を静かに手にとった

 「これが噂のくしゃみ草か」

 聡明な瞳でまじまじと草を観察する。

 「こいつを裏で引いてんのは恐らく、同業他者か異世界関連のヤバイやつらです」

 「うーむ。私にもこの草に関しては聞いたことがない。全くの新種の植物。作られたにせよ偶然の産物だろう。ただし、経験上、異世界から召喚されたものではなさそうだ」

 「となると……」



 俺はアンティノメルに来ていた。とある人物と出会うためだ。その中でも奴がアジトに使っているとされる住居のうち一つに侵入した。
 「会いたかったですぜ?クレインの旦那」
 「なっ!お前みたいな大物中の大物が何でこんな所に!つーかどうやって俺の居場所を嗅ぎ付けやがったッ!」

 同業他者。それが俺の導き出した答えだ。その中でも俺の目を掻い潜るようなトップレベルの実力者、となると自ずと絞られてくる。同業他者は最初から疑ってはいたものの、尻尾をなかなか出さなかった。
 考えたあげく、俺は闇医師を片っ端からあたっていった。サグヌ草の最初の被害者はサグヌ草を発見した奴のはずだからだ。



 「クレインの旦那、サグヌ草を撒いたのはあんただろう?わざわざギャング精霊とも違う別ルート使って、念入りに偽装した上でな。レウカド先生のカルテにまんま名前が残っていやしたぜ?」

 「ちッ!ああ、そうさ!俺が売りさばいた。欲しがる奴がいたからな」

 クレインは幻術を使って逃げようとする。

 「おおっと、旦那ぁ。ドアから出ようたってそうは行きやせんぜ?」

 クレインか扉から出ようとしたとき、無数のワイヤーがクレインの体を切り裂く。原始的なワイヤートラップだった。

 「うわぁぁぁ!」

 「敵は人だけじゃないんですぜ?幻術で人を騙せても罠はだませない。あんさんは能力を過信しすぎだ」

 ライフル銃を構えつつ、懐から金属製の棒を取り出すとクレインに向かって投げた。クレインの懐にぶっ刺さる。

 「ぐぁっ!」

 「あんたが考えているよりもサグヌ草はずっと危険な代物だ。くしゃみは一度引き起こされると長期間治らない上に重度になると肺炎を引き起こす。すぐにこいつの貿易を止めろ」

 「ちっ、わかった……わかったよぉ!俺達でもこいつの扱いには困っていた。こいつの花粉は防ぎようがない。無差別にくしゃみを伝染させていく」

 「じゃあ、自分がサグヌ草にかかるリスクを知っていて、その危険性もわかった上で旦那は貿易をしていたわけだな?その交易相手は誰だ!」

 ライフル銃をクレインの首に突きつける。さっき投げたあの棒が発信器がわりになっているお陰で、俺は幻術だろうがなんだろうが、クレインの位置を正確に把握している。俺の使える数少ない魔法のうちの一つだ。

 「話せば見逃してくれるのか?」
 「さあな、内容次第だ」

 クレインはゆっくりと口を開いた。

「召喚師…仮面をつけた召喚師だ」



 厄介なことになった。サグヌ草を召喚師が大量に仕入れていたのは、恐らくカモフラージュのためだ。
 サグヌ草は新種の植物ゆえに、確立された利用法がくしゃみ誘発以外にない。
 強大な存在を召喚するために、民衆の目をサグヌ草に向ける。そして国々が混乱している間に召喚の儀式を済ます。簡単な話だ。

 どこにいるかもわからない召喚師をしらみつぶしに探すのは、さすがの俺にも無理だ。ガーナの旦那に伝えて、各国に協力を要請するしかねぇ!
 俺はクレインの家を囲んでいる部下に指示すると、ドレスタニアに帰国した。

 密輸の障害になるサグヌ草を消すだけの簡単な仕事のはずだったんだがねぇ…。



 こうしてラゼロイドマギが出現するより前に、先手を打つ形で、仮面召喚師の掃討作戦が開始された。


 とある老人の告白 ~完~

ひな祭り ー当日ー 最後の砦 PFCSss14

 戦いの音を背後にクォルとエスヒナ・解剖鬼を乗せたイナゴ豚はショコラの後を追って行った。



 膨大な量の本がひしめき合う図書室に響く剣のぶつかり合う音、銃声。

 『どうした?避けてみろ。ショコラ!貴様は剣で我を刺さなければ能力が発動しない。地面に刺して、地面そのものを凍らせ、その上に乗っている者を凍らせるということも出来るようだが、こうして浮いている限りは届かない。詰みだよ、詰み。神の力の前には何者も無力なのだ』

 白いウェディングドレスに赤色の斑点が残る少女。しかし、その顔は少女に見会わぬ険しい表情だった。
 それに対して、ショコラは剣を構えていた。青い貴族服に身を包み、ずり落ちそうになる王冠と眼鏡を整えて、あどけない顔に余裕の笑みを浮かべる。

 過剰なステップの神業的足さばきでエアリスのガトリングガンを避ける。


 『貴様……?何者だ?我の知っているショコラは容赦なく敵に刃を振るうような者ではない。身を危険にさらし敵に情をかける愚か者。それが我の知っているショコラだ』

 「……僕は剣を重ねればわかります。あなたの中にセレアはいない。クロノクリスであったときのほんのわずかな感情も今では感じられない。あなたはただの量産機です。命も魂も感じられない、意志と力だけで動く人形です。そんな今のあなたに情などかける必要はない」

 『シックスセンス(第六感)か。だが、それだけでは貴様の能力は説明できん。剣から動作を読み取ろうとしても、考えを読めるのはぶつかり合うその瞬間だけだ。次の攻撃を予測できても、全ての攻撃をかわすなどということは出来ないはず。なぜだ……なぜかわせる?』

 エアリスは腕を槍に変形させ、ショコラを串刺しにしようとする。だが、無駄があり、最適化もされていないはずのショコラの動きを、なぜかとらえることが出来ない。
 
 剣、ナイフ、ガトリングガン、ミサイル、かまいたち……何をしようがショコラはバレリーナのような奇怪なステップで避けてしまう。

 『ちっ、あともう一機いれば何とかなったものを。かくなるうえ……』

 「俺様登場ぉぉぉぉぉおおお!!」

 突然の大声と共に、廊下の奥からイナゴ豚に乗った剣士が姿を現した!
 ショコラに気をとられていたエアリスは反応することが出来なかった。イナゴ豚から飛び降りたクォルがエアリスの胴体をぶったぎる。
 地面に落ちさえすればエアリスはショコラの射程内だ。ショコラが地面に剣を突き刺すと、剣から白い蛇が這い出るかのように地面が凍っていき、エアリスに触れた瞬間、彼女を凍結させた。
 
 「クォルさん、ありがとうございます!」

 「ショコラ、お前は俺様が乗ってきたイナゴ豚に乗って、エスヒナと解剖鬼と一緒に最深部を目指せ。俺様はここに残る」

 「危険すぎます!相手はその道の達人三人でようやく渡り合える強さです」

 クォルは自分を親指で指すと、大声で笑った。

 「大丈夫だ。死なない程度に頑張るから。クライドちゃんやバトーちゃんの敵も打たなきゃいけないしな。……それに、ここで誰か囮にならなきゃ先進めないだろ」

 クォルはそういうとエアリスを剣で切り裂いた。

 「でも……」

 クォルはニヤリと顔を歪め、ショコラを睨んだ。決死の覚悟をみたショコラは折れるしかなかった。

 「わかりました。健闘を……祈ります」

 ショコラがイナゴ豚に乗るとエスヒナと、それにしがみついている解剖鬼を乗せたイナゴ豚が後ろからやって来た。

 「クォル!なんであんたも来ないの」

 「女の子にかっこいいところを見せるためだッ!行け!」

 ショコラはメスを解剖鬼に向かって投げた。メスは解剖鬼がキャッチするまでもなく、首もとに突き刺さると、そのままめり込んで行った。
 その瞬間、死んだように動かなかった解剖鬼が、生き返ったかのように声を発した。あのメスは解剖鬼のために、ソラのエネルギーをちゃっかり拝借していたらしい。随分と主人思いのPFのようだ。

 「行くぞ!ショコラ、エスヒナ」

レウコトリカとルビネル PFCSss

解剖鬼「おい、ドクターレウカド。紹介状を持ってきた。いるか?……いないなら居座るぞ?」

ルビネル「えっ、そんなにフランクなんですか?ドレスタニアでは結構コワイと噂聞きましたが?」


兄「あんたの紹介状で来る患者は嫌な予感しかしないな…」
 ルビネルを見つける。

兄「…はじめまして、医者のレウカドだ。怖がることはない」

妹「お仕事だー!」
 どたどたと忙しない足音が中から聞こえる。


解剖鬼「大丈夫。私の患者ではかなりの常識人だ。って……んん?レウカド恋人いたのか?」


ルビネル「こちらこそはじめまして。ルビネルです(あっ……二人とも好みの顔……)」


黒髪を揺らしながら優雅に挨拶するルビネル。


妹「こんにちはー!」

 ふたりに向かって挨拶をする。

レウカド先生「そうだ、恋人だな」

 恋人というところを強調しつつレウコトリカを抱き寄せる。

妹「はじめまして!お兄ちゃんのレウカドと妹のレウコトリカです!」


解剖鬼「えっ……(嘘ぉ!顔も性格もまるで似てない!)。ゴホンッ!彼女は一応まだ学生だ。よろしく頼む」

今回は素直に立ち去ろうとする。

ルビネル「ご配慮感謝します。(向き直って)はじめましてレウコトリカさん!ちゃん付けしていい?」

解剖鬼「?!」


レウカド先生(動揺してるのをはじめて見た…)「ああ」

レウコトリカ「いーよー!ルビネルちゃんって呼んでいい?」


ルビネル「レウコトリカちゃんいいよ!えへへぇ~」

 さりげなくレウコトリカと握手する。

 「レウカド先生こんなに可愛い妹さんがいるなんて羨ましいです!」

 一方でキラキラとした瞳をレウカドに向ける。



 そそくさと立ち去る解剖鬼。

解剖鬼(レウカドの妹?あれが?え?ん?ルビネルってあんなに気さくだったっけ?あれ??)


レウコトリカ「わーい!ルビネルちゃん!兄さん!さっそくドレスタニアで友達できた!ともだち!」(本気で嬉しい)

レウカド「よかったな!」(本気で嬉しそう)

レウカド先生「フフ、クハハ…君は見る目のある学生だとわかった。診察費治療費、共に半額にしよう…」

レウカド先生(アイツ前に妹に会ったと言ってなかったか…?)



解剖鬼(ヤバヤバイ!出任せに嘘をついたのがバレる!後で口裏合わせようとしてたのにッ。クッ……ルビネルあとは任せたッ!本気でヤバヤバイ!)


ルビネル「本当に!ありがとうございます!レウカド先生優しいですねッ!レウコトリカちゃんもこんなお兄さんいて嬉しいよね~」

レウコトリカをナデナデ。

レウカド先生(まさかアイツ…)

レウカド先生「ルビネルさん、だったか、こんどあの解剖鬼に会ったら『楽しいデートをしましょうね』と伝えておいてくれ」

 笑顔だが目だけが笑っていない。


レウコトリカ「兄さん優しいけど怒ると怖い!」


 ルビネルの艶のある黒髪を撫で返す。


ルビネル「(怖ッ!)えっ……ええ。喜んで」


 ルビネルのポケットからボールペンとメモ帳が飛び出し、宙に静止し、独りでにメモを取り出した。よく見るとメモ帳にもボールペンがくっつけてある。

 「レウコトリカちゃんありがとう!もっと撫でて」
 顔をレウコトリカに近づけた。


レウカド先生「…!びっくりした…それは妖術かなんかか」

レウコトリカ「いーよー」なでなでなで


レウカド先生(なんか近くないか…)


 ルビネルはキリッとした表情にかわる。

ルビネル「妖怪の呪詛です。アルビダなので。もっとも、私の場合アトマイザーを用いないと発動すら出来ませんが……。(胸ポケットから香水容器を取り出す)」

 その横でレウコトリカに撫でられまくる。撫でられるのが気に入ったらしい。


レウカド先生「ふむ、俺はこれしかしらんからな」
 仕事道具の煙草を見せる。


ルビネル「因みにそれは呪詛の類い……それとも精霊の魔法?それを治療に使うんですか?」

レウカド先生「ああ、アルビダ特有の能力を煙にして吐くことによって引き出すらしい。これを治療にも使うがただのまやかしみたいなものさ。実際に効果を感じるのは短時間だけだ」


レウカド先生「ところで今日は何しに?」
レウコトリカ「レウに撫でられに来た!?」



 ルビネルは顔を緩めてレウコトリカにと向き合う。
 「そうそうレウコトリカちゃんに撫でてもらって癒されに……って、もちろんそれだけじゃありませんよ?最近なんか体がだるくって……」

レウカド先生にも微笑みかける


レウコトリカ「しんどいの?大丈夫?」

心配そうに見つめる。

レウコトリカ「兄さんお医者さんだから良くしてくれるよ!」


レウカド先生「寒気や生理不順はあるか?」


ルビネル「ええ……最近周期が狂ってて。ドクターは婦人科に詳しくないからってまわされたんです。検査値に異常がないから多分ストレス性だろうとは言われたんですけど……」

 診断書をレウカド先生に見せる。(外科的には正常だったので大したことは書いていない)

ルビネル「心配してくれてありがとう」

レウカド先生「…俺もべつになんでもできるというわけではない…婦人病も…恥ずかしながら最近齧った程度だ。…こんなこと聞くのもなんだが、一週間ほど前に性交渉をしたことは?ストレス性だとしたらピルを処方させてもらうが」

レウコトリカ「せーりでおなかいたいの?」ルビネルの下腹部を撫でる。


ルビネル「フフフッ。『そういうこと』はしてません」

 妖しく微笑みながらレウコトリカの肩に左手を置く。

ルビネル「ただ、最近で言えばハサマ王の過去を聞いたり、ドレスタニアの裏を知ってしまったり、禁術のエグい歴史を調べたり……色々と重なりましたね……」

 レウコトリカの手に右手を被せる


レウカド先生「…研究熱心な学生ということか。ここでは婦人病の診察はやっていないから薬だけ処方させてもらう。違法だが」

レウコトリカ「んー?痛くない?」

ルビネル「痛くないよ~」

 とうとうレウコトリカのほっぺたにまで手を出すルビネル。

ルビネル「レウカド先生、助かります……あっヤバこの触感癖になりそう!かわいいよレウコトリカかわいいよヨシヨシ!心配してくれてありがとうね」

 レウコトリカにデレデレになってきた。


レウカド先生「ひっ…」
 誰かを思い出して一瞬怯えている。

レウコトリカ「くすぐったいよ~えへへよかったあ」


ルビネル「むーにむーに♪あれ?どうしたんですか?レウカド先生」


少し悩んでから心配そうな顔でレウコトリカに聞く。


ルビネル「レウコトリカちゃん、何か私レウカド先生に変なことしたかなぁ?」


レウカド先生「いや!なんでもない…俺は薬をとってくる…」
レウコトリカ「なにもしてないと思うけどねー」

 ほっぺたをむにむにしかえす。


ルビネル「うわぁー!気持ちー!えへへっ。ところでレウコトリカちゃんは趣味とかある?」

 謎の頬っぺたムニムニ合戦が勃発する。

 お兄ちゃんは別室にお薬取りに…

レウコトリカ「えー、なんだろー、きれいな石をあつめて、それでサンキャッチャー作り!お店の看板のもレウがつくったんだあ!」


学生「えっ!あれあなたが作ったの!綺麗だったな……看板に光が反射してキラキラして……。プロ顔負けじゃない!エライ!」

レウコトリカの両手を握って目を輝かせる。


レウコトリカ「占いのおばばに習った!レウ、首輪とか腕輪もつくれる!ルビネルちゃんに、作ったげる!」


ルビネル「本当にッ!いいの!?ホントーに!ありがとう!私も次来たときお菓子作ってくるね!」

喜びのあまり握った手を上下に振る。ほしいものを買ってもらった子供のような笑顔をする。


レウコトリカ「うん!いいよー!やった!お菓子楽しみー!」

 戻ってきたお兄ちゃん

レウカド先生「な、仲良くなってるみたいでよかったな…ほら処方箋だ。寝る前に飲むだけでいい。正常な月経が始まったら飲むのを止めるんだ」


ルビネル「レウカド先生ありがとうございます。これでようやく安心です……」

 
優雅な手つきで処方箋を受けとる。


「ところで、レウカド先生……今度お礼をしたいので、また来てもいいですか
?是非……食べて頂きたいものがあるので……」



レウカド先生「あ、ああ…構わないが…ここはあまり食べ物を持ち込むのは…」

レウコトリカ「こんどお菓子とアクセサリー交換するんだあ」

レウカド先生「そうなのか、それなら…」



無邪気に笑いつつ、レウコトリカに

ルビネル「レウコトリカちゃん。ナイスフォロー!」

さらに、レウカド先生の唇に指を当てつつ、

「ええ、そうです。アクセサリーとお菓子を交換するだけですから……。フッ……フッ……フッ!」

妹の表情は自慢げだ。

レウカド先生「…う」
 ルビネルの手をどける。何かを思い出して寒気を感じた。

レウカド先生「今日はもう…いいな…また今度だ。楽しみにはできそうもない」



察してすぐに手を引っ込めたルビネル。

ルビネル「あらぁ……苦手なんですね。ごめんなさい。……クスッ!わかりました」

 一瞬で童顔の愛らしい顔に戻る。

 「今のは忘れてくださいねっ!」

そしてレウコトリカと肩を組む。

 ルビネル「ごめんね。お兄さんに嫌な思いをさせちゃったみたい」



レウカド先生「…ああ、お大事に」
レウコトリカ「うーん、兄さん女の子苦手みたいだから?」



ルビネル「……そっかぁ。何はともあれ、ありがとうございました!」

 ルビネルは来たときと同じように礼儀正しく礼をして帰っていった。……何度も振り返ってはレウコトリカに手を振りながら。


レウコトリカ「今度はアクセサリーつくって待ってる!」
レウコトリカは手をぶんぶんと振り返した。

ルビネルとタニカワ教授 PFCSss

ルビネル
 白い肌、赤い瞳、黒い長髪、黒い学生服。妖怪の中でもアルビダという種族産まれ、妖怪の持つ力である呪詛について研究している。
 研究について語ると延々と話続けてしまう悪い癖がある。普段は自重するし、ガーナ王やグリムと話したときもしっかりと分別をつけていたが、タニカワ教授対しては容赦しない。


タニカワ教授
 実年齢よりも十歳は若く見られる教授。呪詛研究の権威。主に女子生徒に人気だが本人は自覚していない。
 端からはルビネルと一緒に超真面目に研究していると見られているが、実際には研究よりもルビネルへの突っ込みに神経を使っておる。




 「あー、イケメンになってかわいい女の子からモテたい」

 「ルビネル、モテたい、というのは分かるが、研究室でレポートを書きながら言うべき言葉じゃないだろう?」

 「そうですよね、タニカワ教授!やっぱり男足るものハーレムに憧れますよね」

 「話を最後まで聞いてくれ。……まあ、時代錯誤のような気もするけどな。私の子供の頃はそういうのも流行った時代があったが……って、君は女だろう、ルビネル」

 「生物はもともと子孫を繁栄させるように、優秀な個体と結び付きたい、という根元的欲求があるんです。モテたい、というのはごくごく自然だと思います」

 「うん、女同士で何しようが子孫繁栄は不可能だけどね?片方がオカマでもない限り」

 「というわけでナンパ本や恋愛本を図書館からかき集めてきました」

 「借りてきたのは分かるが、それをわざわざ教授である私の前で広げる。その神経がわからないんだが。っていうか研究室にそんなものを持ち込むのは校則違反じゃないかな」

 「気のせいです」

 「正々堂々嘘をつくな」

 「話を戻しますね。ここにあるナンパ本に書かれている恋愛テクを統計して、その傾向を見る研究をレポートに書いているところだったんですけど……呪詛の研究してるのに恋愛心理のレポート提出しても、受け取ってもらえないんじゃないか、ってことに先日気づいたんです」

 「そういうのは書き始める前に気づこうな?」

 「話は変わりますが、妖怪の呪詛の強さは、感情によって左右されると言われてますよね」

 「あ、ああ。前触れもなく真面目な話をすると頭の切り替えが追い付かないんだが」

 「後で補足するんで大丈夫です。そういえば、つり橋効果ってありますよね。心臓がドキドキしてる時にきれいな異性と一緒にいると、恋のドキドキと錯覚する、っていう」

 「有名な恋愛心理だが、それがどうした?話がまったく見えてこない。あと、補足されたところで理解できる自信がない」

 「そこで、

 1.普通に呪詛を発動した時。

 2.つり橋でかわいい子に話しかけられた後、その子に呪詛の発動をお願いされた時。

 3.つり橋でかわいい子に話しかけられ、特に魅力的とは思わなかったけど、その子に呪詛の発動をお願いされた時。

 呪詛の威力に差が出るのか。それの集計をとってレポートにまとめたいと思っています。それで、タニカワ教授にも集計処理をしてもらおうかと」

 「え……」

 「?どうしました」

 「冗談と思って聞いていたら、思いの外真面目な研究内容だったから驚いた」

 「因みにドレスタニアの外交官であるエリーゼさんに協力してもらい、100人の妖怪をかき集めました。来週辺りにお願いできますか?」

 「新聞とかで普通に載っているような国家の重役であるエリーゼ外交官に何で協力が得られたのか、そもそもどこで知り合ったのか気になるが置いておこう。う~ん……来週は協力は難しいかな。テストの採点が……」

 「えっ……そう……です……か……」

 「ああ、もう、そんな顔をするな、ルビネル。わかった、一緒にやろう」

 「いいんですか!やった、本で読んだ通りです!研究の成果ッ!」

 「グフゥ!」

集結の園へ 寄り道

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⬆坂津さんの小説の外伝的立ち位置となります。これを読まなくても楽しめるように書いてはいますが、読むとより理解が深まるかと思います。



登場人物

・ルビネル
 カルマポリス出身のアルビダ(妖怪)。学生で呪詛と呼ばれる力の研究をしている。ボールペンを操る力を持つ。

・アウレイス
 キスビット出身のアルビダ。美しい銀色の髪の毛と白い肌、紅の瞳を持つ。人見知りが激しいらしい。

・エウス村長
 アウレイスの住む村の村長。船の一室を貸してくれたナイスガイ。今回は名前だけ。






 なんの因果か、エウス村長が用意した船に乗せてもらったルビネル。旅の疲れもあって、エウス村長の村に住むアウレイスに相談して、個室を貸してもらい骨休めをしていた。




 「無理いっちゃってごめんなさいね。個室で二人、だなんて……」

 ルビネルはベッドに腰かけると目の前の少女に話しかけた。強い意志が感じ取れる赤い目。その中心を彩るルビーのような深紅色の瞳。

 「いえ、お役にたてて光栄です……」

 裾の長いシンプルな衣。
 ルビネルと同じく透き通るような白い肌。
 新品の銀食器を彷彿とさせる銀色の髪の毛。末端が漆のように黒く変色しており、それがさらに銀をきらびやかに魅せる。黒髪であるルビネルからしてみれば夢のまた夢だった。黒をここまで美しい銀色に染めるような整髪料はこの世に存在しない。

 そして、……褐色に染まった肩口。
 
 「改めて自己紹介をするね。私の名前はルビネル。ただの学生よ?あなたは?」

 「キスビットのジネのアウレイスです。よろしくお願い……」

 ルビネルはもじもじと自己紹介をするアウレイスの首に手を回して、一気に引き寄せる。アウレイスが中腰になり、ルビネルの体と密着する。
 ふぅ……ん。いい胸ね……。

 「ひっ!?」

 突然の出来事に動揺するアウレイスの様子をほほえましく見つつ、髪の毛の香りを堪能する。そして、アウレイスの耳元にゆっくりと囁く。

 「アウレイス、人見知りなのはわかるけど……二人きりの時は敬語を使わないで。ため口でいいのよ?」

 肩に手を置いてから、そおっと押して、体から離してあげる。向き合ったらアウレイスの絹のように白い顔は赤面して今にも湯気が出そうだった。
 肩から手を話さずに、にこりと微笑む。

 「わっ……わかりまし……わかったわ。これでいいのよね……?」

 ルビネルはそおっとアウレイスの肩を撫でる。アウレイスは左肩を気にして顔を背けた。

 「あなたは魅力的なんだからもっと自信を持ったほうがいいわよ、アウレイス?」

 「出来ないの……私はルビネルみたいに、きれいじゃないから……」

 アウレイスは左肩からルビネルの手を払い除けようとした。しかし、ルビネルはそれに抗い、肩をなで続ける。
 
 「私は過去に左肩から左胸、左脇腹付近までを噛み千切られてしまったの。その時生死をさまよったんだけど、友達が身を犠牲にして救ってくれた。彼は死にはしなかったけれど、代わりに赤ちゃんまで体から記憶まで全て若返ってしまって……」

 アウレイスはうつむいて固く口を閉ざした。自責と自己嫌悪に陥り、どうしようもないのだろう。価値のない自分のために、他人の生きた時間を奪ってしまった。彼女が感じている責任の重さは計り知れない。
 ルビネルはそんな彼女を見て、心底美しいと思った。他人のためにここまで真剣に思いやれる人間などそういないから。
 そして、人を深く思いやれる女性は他人を強く惹き付ける。人をよく見て、気遣うことや、誉めることが出来る。
 唯一彼女に足りない自信を持たせてあげれば、すごく魅力的な女性になるはずだ、とルビネルは考えた。

 「なら、尚更自信を持つべきよ。あなたの浅黒い肌はそのまま、彼の行いの勲章。彼にとってあなたはそれだけの価値があったのよ。自分の価値観だけで、自分を判断するのはよくないわ。素直に、彼の思いを受け止めてあげたら?」

 アウレイスの両ほほにそっと手をそえて、彼女の顔を上げさせた。ルビネルはひまわりのような屈託のない笑みをアウレイスに捧げる。

 「そっか、私が自分の価値を貶めることは、彼の決死の思いを否定することになるのね……。わかったわ。私、がんばってみる!ありがとう、ルビネル!」

 パアッとアウレイスの顔が明るくなった。

 「フフフッ!今の笑顔が一番よく似合っているわ」

 本当にアウレイスの笑顔はかわいい。ずっと見ていたいなぁ。でも、この子を素直に笑わせるのはなかなか難しそうね……。

 「あっ、そうだ!今度この旅が終わったら、カルマポリスに遊びに来ない?ファッション店とか、ブランド店とかも楽しいけど、なんといっても遊園地がすごいのよ!」

 「遊園地?」

 アウレイスが頭にはてなマークを浮かべた。
 そんな彼女に対して、ルビネルはメモ帳を取りだし白紙のページを開いた。ルビネルの力によってボールペンが独りでに、遊園地の遊具を描いていく。

 「そう!遊園地に一歩足を踏み入れると、見渡す限り遊び場とか遊具で埋め尽くされてるの。例えば、観覧車って言って、ゴンドラに入って数十メートルの高さまでゆっくりと登っていって遠くの景色まで見渡せるの。すっごく綺麗なのよ!」

 「そんなものがあるの?!」

 図示された観覧車を指差しながらルビネルはアウレイスに微笑む。
 一方アウレイスはそんなものがこの世に存在するのかと驚きつつ、前のめりになってルビネルの話を聞いていた。

 「すんごいスピードで動く列車に乗って登ったり下ったりしてスリル満天なジェットコースターとか……」

 「これは!」

 「これはコーヒーカップって言ってね……」

 ルビネルはアウレイスの質問に、とても丁寧に答えていった。途中で談笑を挟みつつアウレイスと話す時間は、ルビネルにとって、とても楽しい一時だった。

 とうとう話題が尽きると、アウレイスはルビネルの手を取った。

 「絶対に連れていってね!遊園地!」

 「ええ。約束するわ。引きずり出してでもあなたを迎えに行くから!」

 エウス村長への手紙を書き終えると、意気揚々と二人は部屋を後にした。