フールのサブブログ

PFCS 用のサブブログです。黒髪ロング成分はあまり含まれておりません。

セレアvsエアライシス 完結編

 「ところで、なぜタニカワが専門家として推薦されたのじゃ? 呪詛兵器の専門に絞ればもっと優秀な学者もいたはずじゃが……」

 蛍光灯がチカチカする無機質な通路を進みながらセレアが聞いた。
 ガーナ元国王はワイバーンを引く手綱を調整しつつ、静かにうなずいた。

 「最初に我が国ドレスタニアの兵士が倉庫に眠る兵器エアライシス=ルナリスを発見した。たが、残念ながらカルマポリスの独自技術には我が国は疎い。そこで私はカルマポリスの呪詛兵器の専門家を呼ぶことにしたのだ」

 「そこで国王の命令でカルマポリスの役人が優秀な専門家を当たったんだけど断られてしまってね」

 「人望ないのぉー役人……」

 「たらい回しにされた挙げ句泣く泣く私にお願いした、というのがカルマポリス側の事情なんだ」

 私に対してガーナは気にするな、と笑顔を向けた。


 「いいや、私としてはむしろ好都合だった。一番話のわかる学者が来たわけだからな。恐らくタニカワ教授以外の研究者が断ったというのはエアライシス=ルナリスの解体に密かに反対しており、全員拒否することで計画を頓挫させようとした、というのが実のところだろう」

 「……おっしゃる通りです。エアライシス=ルナリスは文化的価値だけでなく、使われている技術も大変興味深い。技術革新に繋がる可能性のある大変貴重な遺産だから壊すなどとんでもない、と学会では否定的でした。もっとも、ガーナ元国王から資料を見せられたとき考えが変わりましたがね」

 「ん? それタニカワにとって結構ヤバイ気がするんじゃが」


 約300年前にエアライシスを元に妖怪が作り上げた兵器、エアライシス=ルナリス。セレアがかつて戦った本家エアライシスは文字通り国を消し去るほどの破壊力を有していた。これを野放しにする位なら、失職した方がまだましだ。


 「気にしないで、セレア。危険な兵器を外に出すよりはずっと穏やかだ」

 「主はいつも......まあよい」


 扉を潜り抜けると巨大な空間が広がっていた。薄暗い空間に黒いビルのような建物がいくつも立ち並んでおり、その窓一つ一つの内側に緑色の液が満たされており、異形の生物が浮いている。
 因みにここはノア教本堂内の礼拝堂の地下だ。クロノクリスが増設した宗教に染め上げられた地上に対して、ひたすら無機質な部屋の数々。異世界にでも来たかのような錯覚に陥る空間を、私たちは進んでいた。時おり床にヒビが入っていたり、建物に焼き焦げた跡や、弾痕が生々しく残っていたりした。
 非常時の移動用につれてきたワイバーンが怯えてキュルルルという声をあげる。私の気持ちを代弁しているかのようだった。


 「ここを真っ直ぐ行けば地下図書館に続いておる。じゃが、今回の行き先は倉庫じゃったよな?」


 セレアは以前、クロノクリスに操られて、ガーナ元国王の弟やその仲間を殺しかけたらしい。自らの体を勝手に動かされ支配される身の毛もよだつほどの不快感。嫌なことを無理矢理やらされる嫌悪感。そして、人を手にかけることになんの抵抗もない自分への憎悪。今の彼女の苦悶の表情がその壮絶な過去を暗示している。
 私はセレアの手を握ると、あえて明るい声で話しかけた。視界の端でガーナ元国王が目をそらした。


 「先を急ごう、セレア。たしかここを右に曲がれば倉庫だよね?」

 「ああ。西側の扉が倉庫に続いておる」


 町並みが唐突に途切れて、黒い壁が立ちはだかった。壁際を伝って五分ほど歩いたとき、壁に備え付けられた大きめの扉を発見した。


 「ここじゃな?」

 「ああ」


 施設の機能が停止しているために、扉のロック機能も作動しておらず、ドアノブを押すだけであっさりと中に入ることが出来た。中はかなり広そうに見えるが照明が暗くて奥まで見えない。


 「あの正面にあるのがエアライシス=ルナリス?」

 「その通り」


 エアライシス=ルナリスはお座りしているオオカミのような姿勢で待機していた。頭の上から三本の角が生えていたり、飛ぶのには小さすぎる翼を持っていたりと突っ込みどころ満載であったが。


 「立ち上がると恐らく五メートル位、資料と少し食い違いがあるものの誤差の範囲だろう。まぁいい。今日は視察だけだ。今から数日後に行うエアライシス=ルナリスの解体作戦の説明を……」


 ガーナ元国王が言いかけたときだった。
 エアライシス=ルナリスからカチリという嫌な予感のする音が聞こえた。
 人でいうこめかみの辺りに上向きに取り付けられた二本のパイプから呪詛を多量に含んだ蒸気が漏れて、プシューッ! という音がした。さらに翼の付け根にある無数の歯車が、一斉に回転を始める。ゴォォォとボイラーの燃えたぎるような音が聞こえたかと思うと全身から呪詛が溢れだしエアライシス=ルナリスの輪郭が揺らぐ。セレアが慌ててガーナ元国王に聞いた。


 「なぁ、これなんか動いてるように見えるんじゃが」

 「兵士たちはすでに退避させている」


 私は額に手をあてて首を左右に振った。


 「ワイバーンつれてきて正解だった」


 双方に二つずつある眼が開いた。微妙に左右に頭を動かして周囲の状況を確認している。そして、わらわたちに目を向けると静かに語りかけてきた。


 「遥か昔、我は兵器として生を受けてから間もなくこの地に安置された。我は戦うことも死ぬこともできず、自らの存在意義すら見いだせぬ地獄の日々を過ごしてきた。だが、それも今宵で終る。我が名はエアライシス=ルナリス。カルマ帝国最高の兵器なり」

 突然目覚めたと思ったら、いきなり自己紹介された。初対面の相手に自己紹介は基本であるが、この異質な状況の中、生物兵器にされるとは思わなかった。とりあえず名乗っておいた方がいいのだろうか?


 「わらわはセレアじゃ。よろしくな」

 「ドレスタニア元国王のガーナだ」

 「教授のタニカワです」


 自己紹介をするとエアライシス=ルナリスの細く鋭い眼がさらに細くなった。どうやら見た目から実力を推測しているようだ。


 「我の望みは兵器としての生を全うし、戦いのなかに果てることにあり。我を滅したければ力を示してみよ」

 「なるほどな。つまりお主をぶっ倒せばいいということじゃな」


 セレアが私とガーナ元国王に目を合わせて頷いた。私たちは速やかにワイバーンに飛び乗った。......こうなることはわかっていた。私はわかっていてセレアを止めることができない。目の前にいるのは無差別破壊兵器で、これを止められるのは彼女しかいないからだ。
 私にできるのはPCを通じて少しでも彼女の戦闘が楽になるようサポートすることだけ。つくづく自分が嫌になる。
 ゆっくりとエアライシス=ルナリスは立ち上がった。すんごい威圧感である。


 「我が力、極限まで高めて戦おう......」


 次の瞬間私の見た光景は現実味に欠くものだった。倉庫の天井が引き裂け、星空がのぞかせたのだ。ここは施設の地下深くでしかも今は朝だった。その夜空から無数の流れ星がセレアに向けて降ってきた。熱せられ赤々と輝く流星の群がこの倉庫に降り注ぐ。隕石は呪詛の炎をまとっており、床に接触すると、車一台余裕で入りそうな大きさの半球状の爆発を引き起こし床にクレーターを残す。回避が少しでも遅れていたら私たちはこの世から消え去っていただろう。
 そんな流星の雨をセレアは踊るように交わしていく。セミロングの銀髪をはためかせ、白いワンピースを揺らすセレア。彼女だけを見ていると、演出の激しい劇でも見ているかのような錯覚に陥った。
 エアライシス=ルナリスの呪詛は流星をはじめとして、天変地異と見間違えるほど強大で圧倒的だ。しかし、地をえぐる稲妻も、鉄を溶かす地獄の火炎も、全てを止める冷気も、セレアをとらえることができない。


 「奴が動く度に聞こえる金属が軋む音と破裂音......まさか」


 ガーナ元国王が呟きに私は答えた。


 「ええ。きっと産み出された時からもう......」


 エアライシス=ルナリスの背から数えきれないほどのレーザーが発射された。ミサイルの如くセレアを追う追尾レーザー。だが、それすらも地面すれすれを飛んだり、壁すれすれの急旋回をするセレアについていくことはできない。
 絶え間なく左右の翼、そして口に魔方陣を展開し呪詛を乱射するエアライシス=ルナリスだが、セレアは彼が呪詛を発動する前に、既に回避を終えている。もはや私には彼の呪詛の方が勝手にセレアを避けているようにしか見えない。
 数多の機械兵器との戦闘経験を詰み、それをワースシンボルのデータベースにて得られた情報と組み合せて補完しているセレア。それに対し実践経験0の兵器。戦いの結果は火を見るよりも明らかだった。
 そして何より......


 「我は幾多もの生物の犠牲の上で設計され、数十もの同胞を犠牲にして産み出された。我が脳裏には今も彼らの亡霊がさ迷い続けている。我が彼らに報いるためにできることはただひとつ! 戦いに勝つことのみ! 貴様とは......覚悟が違う!」


 エアライシス=ルナリスの口と両翼に、高濃度の呪詛が集中する。本来不可視であるはずの呪詛が赤黒い光となって可視化する。
 その時だった。何かがエアライシス=ルナリスの喉に入った。直後、口から火柱が吐き出された。衝撃により制御不能となった呪詛が暴走、連鎖爆発を起こす。熱エネルギーはエアライシス=ルナリスの各部位を内部と外部両方から焼き付くした。
 一瞬の隙をつきセレアが放ったミサイルとカマイタチだった。


 「はじめて戦った相手がこれほどまでの好敵手だったとは。完敗......いや、戦いにすらならなかった。膨大な呪詛を用いても傷一つつけることができなかった。天に感謝せねばなるまい。最後の最後で......我が願いは叶った」


 エアライシス=ルナリスの巨体がゆっくりと崩れ落ちていく。焼け焦げた歯車をはじめとする、時計のパーツのような彼の構造物が床にばらまかれ、三本のつのが根本から外れて地面を転がる。翼は塵となって大気に消えた。
 装甲は薄く未完成。エネルギー補給もろくにされておらず、挙げ句の果てに劣悪な倉庫に百年以上放棄された。本来、戦えるような体ではなかったはずだ。それを彼は執念で動かしていた。万全な状態であれば呪詛の暴走などするはずがないのだ。
 力なく横たわるそれは、もはや生物兵器などではなく弱り果てた哀れな狼にしか見えない。


 「......悠久とも言える眠りの中でかつては創造主を恨みもした。なぜ我を作り出したのかと。だが、今は違う。全力を尽くして戦うということがこれほどすがすがしいものだったとは。セレア、何がお前をそこまで強くした」


 エアライシス=ルナリスの顔の前にセレアは降り立った。苦悶の表情を浮かべて。


 「よき友、よき仲間、よき師、よき経験、よきライバルじゃ」

 「なるほど。我が望んでも手に入れられぬものばかり。たが、好敵手だけは我も出会うことが出来た」

 「よき友もな」


 エアライシス=ルナリスは驚いたように目を見開いた。はじめて彼から生物らしきものを垣間見た気がした。


 「友……我を友と呼んでくれるか」


 彼は満足げにまぶたを閉じる。瞳から一粒の涙がこぼれ落ちた。


 「我は兵器。戦うことでしか快感を得ることが出来ぬ。戦闘においての相手の感情を読み取ることができるが、我自身に感情はない。だが、もし我に感情が宿ったのであれば感ずるはお前への感謝と……我が兵器に産まれてしまったことへの少しばかりの哀しみ。我も出来るのであればそなたのように愛や友情を語れるようになりたかった。なぜだ、なぜ、我は兵器なのだ」

 「死ぬな! 諦めるな! 今急いで修復すれば間に合うはずじゃ」

 「人の手により作られし、破壊をもたらす兵器がこの世に存在してよいはずがない。ただ静かに消え去るのみ......あぁ......闇が来る......また孤独に戻るのか......我は......」


 その瞬間、エアライシス=ルナリスはただの屑鉄となった。


 「タニカワ、エアライシス=ルナリスについての情報を頼む」

 「彼は侵略用に開発されたにも関わらず、機動力が低く、巨体故に運搬には多大なコストがかかる。しかも、防衛に使うにはあまりにも破壊力が大きすぎる。起動するには莫大な呪詛が必要で、そのうえ燃費が悪いためにすぐ呪詛切れになってしまう。実践導入するにはあまりにも障害が多くて、起動後すぐにお蔵入りしてしまったそうだ」


 私が読み上げると、ガーナ元国王がゆっくりと頷いた。


 「恐らく、まともに人と話したのもはじめてだったはずだ。エアライシス=ルナリスは......単に寂しかっただけなのかもしれん。奴は生物兵器。戦い以外のコミュニケーションを知らない。だからセレアに戦いを挑んだのだろう」


 セレアは無言で立ち尽くしたまま、彼の前を動こうとしなかった。

セレアのテロリスト鎮圧 ボツ設定集

thefool199485pf.hateblo.jp
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○下書き


カルマポリスに仮面召喚師たちが再び来襲した。カルマポリス陸軍と空軍がそれに対抗。セレアは避難する民間人の護衛をする。

壮絶な戦いを経て一人ずつ仮面召喚師が倒されるなか、リーダーが現れる。

リーダーはラ・ゼロイド・マグスを召喚する。召喚師が全滅しない限り不死身に近いマグスに軍は苦戦

無事住民の避難を終えたセレアはマグスの撃退に向かう。

マグスは酸性のりんぷんを撒き散らしているため、ワイバーンを主力とする空軍は無力。そして陸軍もその怪力に全く歯が立たない。

さらに、通常の攻撃手段では圧倒的な回復力を持つマグスに効果はない。

呪詛により曇り空が裂け、そこから空色の光が漏れる。地震が起き地面にヒビが入る。脆くなった建物は倒壊していく。

空から流れ星のように、光を身にまとった少女が姿を現した。

少女が手を振り上げると、天を埋めつくす巨大な呪詛の球体が産み出された。やがめ球体は少女の手のひらに凝縮される。

「バカな、数百の呪詛を受けて平然としているマグスが…恐れている!」

セレアは光をマグスに向かってかざした。膨大な呪詛が解き放たれようとしている。

「これがわらわの魂じゃ!」

蒼天を彷彿とさせる光の放流はマグスを飲み込み、仮面召喚師を跡形もなく消し去った。やがて光は天を貫き消滅した

マグスは一撃で葬られた。後にセレアはカルマポリス軍内で「戦姫」という異名をつけられ、畏敬の念を抱かれるようになった。




○プロット


 カルマポリスは再び仮面召喚師の驚異にさらされた。わらわが住民の避難をさせている間に、カルマポリス軍が召喚師や魔物を打ち倒していった。尊い犠牲を払い、仮面召喚師は全滅した。
 わらわはカルマポリス上空を飛行し、現地へと急ぐ。

 <だが、全滅と共に敵の大将が現れた。彼女の名前は精霊フロレ。竜と対話し召喚できることから西側では『竜使い』と呼ばれている。セレア、気を付けろ。こちらには切り札があるが......>

 「30秒しか持たないんじゃろ。わかっておる。タニカワ、心配しすぎじゃぞ?」

 <ならいいんだけど>


 わらわはドレスについた埃をパサパサと払った。
 見慣れた町だが、あちこちから煙が上がっている。高層ビルのうちいくつかは倒壊しており、道路もひび割れでいっぱいだった。そんな町中を黒い防具で身を固めたカルマポリスの兵士たちが駆けている。


 「フロレはどこじゃ?」

 <ここから一キロ先だ。すでにカルマポリスの兵士たちが交戦している>


 先の方から地響きが聞こえた。急行すると、ミミズに足をつけたような奇妙な生き物と、カルマポリス兵が戦っていた。
 今まさに人を食おうとしていた化け物に剣を突き刺した。悲鳴をあげた化け物に発砲。沈黙させた。


 「腕が変形した!? 手から剣に剣からガトリング砲に!?」

 「あいつが噂の『鬼神姫』だ」


 兵士が話している間にわらわは他に三匹の化け物を全滅した。
 地上に降り立つと、目の前に仮面をつけた女がいた。


 「ほう、ヴァイオレントワームが一撃......噂通りですね」


 敵の精霊はカルマポリスの建築物を破壊し、森に還すことを目的としていた。数多くの生物がこの街の犠牲になったのは事実だ。

首領に戦いを挑むセレア。首領の召喚した魔物を撃破するも、その呪いにかかってしまう。呪いにより身体能力が低下し空を飛べない状況で召喚師と闘うセレア。軍の協力もあり、なんとか持ちこたえているものの倒れるのは時間の問題だった。呪いに蝕まれ再生能力も低下してきたからだ。

首領は次々と強力な魔物を召喚、最後に切り札のラ=ゼロイド=マグスを呼び出した。マグスの腹の中に隠れ、一方的にセレアを痛め付ける首領。止めの一撃を放とうとした瞬間、セレアがオーバーロードする。セレアは首領の魔力が尽きるのを待っていたのである。

圧倒的な力でセレアはラ=ゼロイド=マグスを撃破する。首領は命こそ助かったもののカルマポリス警備隊に捕らえられた。セレアは軍から賞賛と畏敬の言葉をかけられながら帰還するのであった



○本編後半


 セレアが倒れるのは時間の問題だった。酸を防ぐために膨大な呪詛を放出している上、呪いにかかった体を無理矢理動かしているからだ。エネルギーの消費量が生産量を上回っている。絶体絶命だった。
 そして、ついにイモムシに囲まれ逃げ場を失ってしまった。マグスはセレアを狙うフリをして建築物を破壊。逃げ道を減らした上で計画的に幼体を配置することでセレアを追い詰めたのだ。止めを刺さんとマグスがセレアに迫ってくる。

 その時だった。

 数えきれないほどの爆発が起きた。セレアが今まで助けてきた兵士達がこちらに追い付き、一斉に射撃したのだ。十頭以上のワイバーンの火炎弾。数十人の陸軍兵による呪詛銃の連射。戦車砲。戦争を彷彿とさせる壮絶な弾幕がラ・ゼロイド・マグスを包んだ。煙に包まれ炎上するマグス。


パターン1 ラ・ゼロイド・マグスに勝利(採用)


 当時のことをナカタニは振り替える。

 「マグスはそれでも死ななかった。マグスは爆炎を身に纏ったまま、セレアに拳を叩きつけた。小さな体が宙を舞った。マグスには強靭な再生能力が備わっていたんだ。誰もが絶望したよ。どうやったらこいつに勝てるんだってね。でも、セレアはそれでも諦めなかった。最後の力でマグスの脳天に剣を突き立てた。そんな彼女を見て私は言ったんだ。『英雄は実在する。今、目の前に』、と」(カルマポリス防衛省所属 ナカタニ)

 セレアの攻撃でマグスが怯んだ隙に、軍がフロレを確保した。召喚師であるフロレの魔力供給が途絶えたことで、ラ・ゼロイド・マグスは機能を停止した。
 軍が身を呈して街を救ったこの出来事は、カルマポリス新政府の躍進に大きく貢献した。


パターン2 ラ・ゼロイド・マグスに敗北


 だが、現実は非常だった。マグスは爆炎を身に纏ったまま、セレアに拳を叩きつけた。小さなからだが宙を舞った。誰もが驚きを隠せなかった。

 「森にはドラゴンをはじめとする、沢山の生命が住んでいる。草木が生い茂り、鳥がさえずって、動物達が吠える、野生の楽園なのだ。この森にすむ動物の祖先の殆どは、貴様らが砂漠に変えたら森から避難してきた。我々は一度帰る場所を失っている。もう二度と失う訳にはいかない」 (フロレ)


 セレアはスペクター博士に回収された。この後、この戦場に戻ることはなかった。誰もが絶望した。現存する兵士達の一斉攻撃が効かなかった。兵士達は攻撃を続けるしかなかった。効かぬことを理解していても、それ以外に手がなかったからだ。もはや、マグスを止められる者は誰もいなかった。やがて軍は退却を余儀なくされた。
 軍の抵抗が完全に止んだとき、マグスは動きを止めた。


 「かつて我らと共存していた時の心を失い、魂の粒子の一欠片までも醜悪に染まった。自らのさらなる堕落を求め、我ら精霊の国を滅ぼし、母なる森さえも文明の礎に捧げようとしている。貴様らは数百年の間に幾度と更正の機会があったにも関わらず、それを見過ごしてきた。保身に走るあまり自らの魂を浄化する術を失ったのだ。これ以上森を侵すと言うのなら、次はこの町を本気で消し去る。もう二度と、お前達がこのような愚行に走らないことを祈っている」


パターン3 オーバーロード(必殺技を使用)


 マグスが止めの正拳を放とうとした瞬間、セレアはオーバーロードした。セレアは首領の魔力が尽きるのを待っていたのである。
 呪詛により曇り空が裂け、そこから空色の光が漏れる。神々しい灯りがセレアを優しく包み込む。地震が起き地面にヒビが入る。脆くなった建物は倒壊していく。彼女が手を振り上げると、天を埋めつくす巨大な呪詛の球体が産み出された。やがて球体は少女の手のひらに凝縮される。

 「バカな、数百の呪詛を受けて平然としているマグスが…恐れている!」

 セレアは光をマグスに向かってかざした。膨大な呪詛が解き放たれようとしている。

 「これがわらわの魂じゃ!」

 蒼天を彷彿とさせる光の放流はマグスを飲み込み、ラ・ゼロイド・マグスを跡形もなく消し去った。やがて光は天を貫き消滅した。
 首領フロレは命こそ助かったもののカルマポリス警備隊に捕らえられた。セレアは軍から賞賛と畏敬の言葉をかけられながら帰還するのであった。



○フロレの召喚するドラゴンの設定(没)


ヴェネムワーム
毒の霧を吐き出すドラゴン

クリペウスワイバーン
ワイバーンの一種。呪詛を無力化する翼を持つ

クレイワーム
剣などで切られると体の一部がまとわりく。腐食作用があり、敵の武具を無力化する。

ドラコフォルティ
魔物の死骸を取り込んだドラゴン。でかい上にとてもタフ。


ヴェネムワーム
見た目は足の生えたミミズ。目がなく音で敵を感知する。

クリペウスワイバーン
両翼は蜂の巣のような六角形状の物質が連なって出来ており、攻撃されると爆発して自動的に反撃する。

クレイワーム
黒色のヘドロをまとっているトカゲのような見た目。

ドラコフォルティ
怪獣


竜を信仰しており、ドラゴンを召喚し、使役する力を持つ精霊。才能は高く、多種多様なドラゴンを召喚でき下級のものであれば同時召喚もできる。ドラゴン召喚には詠唱が必要で、時間はそのドラゴンの力に比例する。




○精霊フロレの設定 (あまりにも凄惨すぎて不採用)

 これをフロレに語らせることでセレアが戦うことが果たして正義なのか、正解なのかを問いかけるという展開することも考えていた。けれども、軍と共闘する展開の方が盛り上がるし、読んでいて面白そうだったので没に。これだとあまりにも陰鬱すぎるし、結果的に没にしてよかったと思ってる。




 『風のシンボル』と呼ばれる巨大な水晶を神と崇め信仰する国に生まれる。
 幼少の頃、冒険心から親の目を盗んでドラゴンの巣の後へと立ち入る。偶然、ドラゴンが帰ってきてしまい命ほしさに道ばたで拾った綺麗な石を差し出す。これがきっかけで綺麗な石を拾ってはドラゴンの元へと訪れるようになった。
 数年後、ドラゴンの住みかがカルマポリス国の都市開発によって脅かされる。抵抗したドラゴンは無惨に殺された。フロレはこれをきっかけにしてドラゴンの保護運動をはじめるもカルマポリス政府は聞く耳を持たなかった。カルマポリス国では精霊差別が既に蔓延っていたからである。
 カルマポリスの原生生物であるドラゴンの保護を目的に活動しているうちに、都市開発が多くの生物の絶滅に直接関わっていることを知る。何度もデモを起こしたり署名を集めたりと、政治的にも活動していたが、都会生活に順応したカルマポリス民は大して気にしなかった。
 一方で熱心な風のシンボルへの信仰心と、自然への愛から自国の女王に推薦された。
 女王となったあとも帝国へのアプローチは続けた。しかし、結果は散々だった。文章を送っても門前払い。署名を集めても燃やされて終わり。使者を寄越しても行方不明に。話し合いの機会を作ったこともあったが、和解した直後に暗殺者に襲われたこともあった。
 約650年前、妖怪の帝国に風のシンボルを要求された。風のシンボルは自国の信仰の対象、つまり自国の神も同然である。フロレは帝国の要求を拒否した。
 帝国はその報復として国を侵略、占領したあげく風のシンボルを略奪してしまった。フロレの遺体が確認できなかった帝国はフロレを指名手配した。
 彼女は生き残った僅かな仲間と共に逃亡、カルマポリス西に位置する大森林に身を隠す。
 大森林の先住民にはドラゴンがいたがかつての経験を生かして和解、共生を始める。フロレはこの森林を第二の故郷として静かに暮らすことになった。
 しかし、その間にも帝国は森を消耗品のように扱っていく。紙や燃料として森林が伐採されたり、家畜のエサとして森林が使用されたりした。さらにはドラゴンの密漁や、それに伴う囲いこみ漁で森に放火する輩が出現。周辺国の森林は急速に砂漠化が進んだ。 
 密告者から伝わってきた、精霊が統べる国に関しての近況も悲惨なものだった。
 フロレの国が滅ぼされたあと、他国は帝国に従う国と逆らう国に別れた。帝国に逆らう国は連合軍を組織し帝国に全面戦争しかけた。が、結果は帝国の圧勝に終わった。
 カルマポリスに降伏した精霊の国は妖怪の移民を強制的に受け入れさせられた。その結果、国民は移民に職を奪われ職を失った。政府に求職措置や補償金を要求しても無視。デモや社会運動をしようとしても種族差別や政府の圧力によってまともに出来ない。
 飢えに飢えて、嫉妬に狂った精霊達はテロリスト集団を形成した。支配国での精霊主導のクーデターがあったが全員虐殺された。
 それでも数百年フロレは武器を手にとらず耐え続けた。これ以上帝国に逆らい仲間を失うのが怖かったからだった。
 今回、西地区の都市開発のために森を大きく伐採された。いくつもの動物の巣が潰され、希少な動物は根こそぎ乱獲されてしまった。フロレらもカルマポリス兵に命を狙われ、森の中を逃げ回った。が、最終的には森を追い出されることとなった。
 全てを失い、ありとあらゆる手段が全て封じられたフロレは暴力に走るしかなかった

セレアのテロリスト鎮圧 下

4.運命のとき


 「あ......はい。あの日のことはよく覚えています。地震の多いにでした。町を歩いていると『えっ......』とか『うわっ』『キャッ!』という声が聞こえてきました。声をした方向を見ると電器店に人だかりが出来ていました。私は好奇心で近寄ってみました。どうやら彼らはテレビを見ていたようです。テレビには映画が映っていました。町を破壊するドラゴンと軍隊が戦うというものです。画質もカメラアングルも悪く、何でこんな映画にみんな見とれているのだろう、と思いました。その矢先、ナレーターが衝撃の言葉を発したんです。『只今現場から中継しております』、と。私が映画だと思っていた映像は、その時この町で起きていたことだったんです」


 カルマポリスの西は森林地帯であったが、地盤は固く平坦で開発の余地が十二分にあった。そこでカルマポリス西地区の町長は政府に協力をあおぎニュータウンの建設へと踏み切った。西地区は都市開発に出遅れてしまい過疎化が進んでいた。ニュータウンを建設することで挽回を狙ったのである。
 今回、それがテロリストに付け入る隙を与えてしまった。森と近接している、廃墟が多い、公共事業に予算を削られ警備が手薄、基地から遠い、元から治安が悪くスラム擬きが存在するなど......。この他にも様々な悪条件が重なり、この地がテロの標的に選ばれたのだ
 セレアは当初、独断で現地に残った民間人の避難を手伝っていた。オペレーターのタニカワ教授にバックアップされつつ、機械の長所である正確な動きで人々を誘導する。だが、政府からの指示の前に動いたことで情報の共有が出来なかった。いくら高性能のアンドロイドであっても、戦場の情報が欠けている状態で単独で数百人を保護するのは不可能であるのは明白だ。しかし、彼女は目の前の助けるべき相手に集中するあまりそれに気づかない。
 敵のワイバーンに奇襲された。別々の方向から一斉に襲いかかってきたのだ。その数10以上。セレアは焦った。ワイバーンを処理するのは造作もないことだったが、避難している人を全員生還させるとなると話は別だ。一匹を相手している間に他のワイバーンが民間人を襲ってしまう。そして誰か一人でも食われるようなことがあれば統率が乱れ、甚大な被害を被ることは明白だった。
 守りきれない。
 セレアが諦めかけたその時、銃声が聞こえ、ワイバーンのうち三匹が打ち落とされた。窮地を救ったのはゲンダイ隊長率いる小隊だった。


 「その時、俺は叫んだんだ。『俺たちを頼ってくれ』、って。セレアはなんでもかんでも自分一人で背負い込んじゃうんだ。敵と戦って、人々を保護して、鼓舞したりする。それを全部一人で同時にしようとする。今まで信頼に足る仲間がいなかったんだろうね。助けに入っただけで彼女、泣きそうだった」 (カルマポリス陸軍所属 ゲンダイ)


 彼女が到着してから民間人は誰一人として死ななかった。
 荒れた土地に、傷ついた人々。障害者や病人を含め全員を避難させるというのがどれほど大変であったか。しかし、彼女はそれを成し遂げた。その小さな体で数百人の命を救ったのである。

 「どこの誰が呼び出したかは知らなけど、カルマポリス軍の間で彼女はこう呼ばれている......『戦乙女』とね。余談だけど、あのときタニカワ教授に軍の情報をリークしたのは私だったんだよ。あとでこっぴどく怒られた。まぁ、後悔はしていない。そうでもしなければ勝てない相手だったんだよ」(カルマポリス防衛省所属 ナカタニ)


 それだけにとどまらず、軍の救援要請を受けた彼女は各地にいた仮面召喚師たちを制圧しに、陸軍及び空軍の応援に入った。
 鳴り止まぬガトリングガンの射撃音。なすすべもなく崩れ落ちる小型ドラゴン達。両腕を変形させたガトリングガンの威力はカルマポリス兵の度肝を抜いた。

 「それがどこであっても、戦乙女の下が一番安全なんです。例えドラゴンに囲まれようとも」(救出された会社員)

 「戦乙女はただぶっぱなすだけじゃなくて、頼るところはうちらに頼ってくれるんですよ。その加減が絶妙で。だから嫉妬するようなことはありませんでしたね」(カルマポリス空軍所属 ヤマダ)

 残存勢力で鎮圧可能なレベルまで敵を倒すと、次の戦場へ向かう。彼女はひとときも休まず、召喚師たちと戦い続けた。あるときはカマイタチでワームを切り裂き、あるときは小型ミサイルでワイバーンを打ち落とし、あるときは剣で召喚師に直接切りかかった。
 そしてとうとう首領を残して全滅した。
 セレアは他の小隊よりも一足先にテロリストグループの首領精霊フロレへの元へ飛行した。セレアが目にしたのは驚愕の光景だった。


5.首領フロレとの戦い


 ワースシンボルから発せられ、町を包んでいるエネルギー。それを借りることで特殊な力を発揮できる。空を飛ぶ、ワープする、ただの水をワインに変える......など、様々な能力を発揮できる。しかし、その才能が開化するのは住民の中でも一部である。軍隊の中ですら戦闘向きの能力を持つのは全体の1割と言った所だ。その中でも強力な能力を持ち、兵士としての資質にも恵まれた者はごくごくまれだ。そんな人口の0.1パーセントに満たない狭き門を潜り抜けた精鋭中の精鋭が、カルマポリスの呪詛部隊に配属される。
 その呪詛部隊がセレアの目の前で壊滅の憂き目にあっていた。全く手も足も出ないままに蹂躙されていた。


 フロレが呼び出したのはラ・ゼロイド・マグスと呼ばれる化け物であった。体長10メートル以上、蛾の体が人に置き換わったかのような醜悪な見た目をしていた。さらに周囲に複数の幼体......イモムシを従えていた。イモムシと言っても並みの民かであれば潰してしまえる位大きい上、酸を吐く。


 「実はあたしも本物を見るまでは戦乙女の伝説を信じていなかった。彼女の戦績は華々しすぎる。でも、食い殺される寸前に助けられた時に実感した。彼女は本物なんだってね」(カルマポリス特殊部隊所属 ハナビ)


 特殊部隊の隊員たちはイモムシに囲まれ、今にも殺されそうだった。セレアが向かおうとすると隊員たちが叫んだ。『マグスの幼体を殺すと死に際に強力な呪いを放つ。私たちは囮だ。無視をしろ』。だが、セレアは彼らを救うことを選んだ。何故なら彼女は兵器ではなく人だからだ。イモムシを撃つ度にセレアの顔が苦悶に歪んだ。助けるためのコストは決して安くはなかった。
 呪いにより身体能力が低下し空を飛べなくなってしまった。さらにマグスの羽からキラキラとした燐粉が放たれる。燐粉は強酸を含んでおり、セレアの液体金属を溶かしていく。貫かれようが潰されようが効かない液体金属も、腐食には勝てない。
 セレアは呪詛を周囲に発散し擬似的なバリアを張り酸だけは防いだ。地響きと共に蛾を模した巨人の拳が襲いかかる。消化液を吐くイモムシが逃げ道を塞ごうとしてくる。セレアは素早さを行かしてなんとか逃げ回ろうとした。

 「何事かと思いましたねぇ。一瞬で空が暗くなり、反射的に見上げました。すると、見上げているはずなのにビルが見えたんですよぉ。一瞬何が起きているのかわかりませんでしたぁ。でも次の瞬間、相手にしている者の強大さを悟りました。マグスは......ビルを根本からへし折り、そのまま投擲したんです!」(カルマポリス特殊部隊所属 ミタライ)

 セレアが倒れるのは時間の問題だった。酸を防ぐために膨大な呪詛を放出している上、呪いにかかった体を無理矢理動かしているからだ。エネルギーの消費量が生産量を上回っている。絶体絶命だった。
 そして、ついにイモムシに囲まれ逃げ場を失ってしまった。マグスはセレアを狙うフリをして建築物を破壊。逃げ道を減らした上で計画的に幼体を配置することでセレアを追い詰めたのだ。止めを刺さんとマグスがセレアに迫ってくる。

 その時だった。

 数えきれないほどの爆発が起きた。セレアが今まで助けてきた兵士達がこちらに追い付き、一斉に射撃したのだ。十頭以上のワイバーンの火炎弾。数十人の陸軍兵による呪詛銃の連射。戦車砲。戦争を彷彿とさせる壮絶な弾幕がラ・ゼロイド・マグスを包んだ。煙に包まれ炎上するマグス。
 当時のことをナカタニは振り替える。

 「マグスはそれでも死ななかった。マグスは爆炎を身に纏ったまま、セレアに拳を叩きつけた。小さな体が宙を舞った。マグスには強靭な再生能力が備わっていたんだ。誰もが絶望したよ。どうやったらこいつに勝てるんだってね。でも、セレアはそれでも諦めなかった。最後の力でマグスの脳天に剣を突き立てた。そんな彼女を見て私は言ったんだ。『英雄は実在する。今、目の前に』、と」(カルマポリス防衛省所属 ナカタニ)

 セレアの攻撃でマグスが怯んだ隙に、軍がフロレを確保した。召喚師であるフロレの魔力供給が途絶えたことで、ラ・ゼロイド・マグスは機能を停止した。
 軍が身を呈して街を救ったこの出来事は、カルマポリス新政府の躍進に大きく貢献したのであった。

セレアのテロリスト鎮圧 上

1.カルマポリス西地区中央

 カルマポリス西地区中央。復興が進んだ今なお建築物に生々しい傷跡の残っている。焼けた壁や酸によって溶かされた標識が、この地でどんなに壮絶なことがあったかを暗に示している。
 カルマポリス民であればご存知かと思うが、ここはかのカルマポリス西地区召喚師無差別テロ事件の現場だ。
 今でこそ平和に人々は暮らしているが、そこに至るまでに、人知れず戦った兵士たちの並々ならぬ苦労があった。

2.カルマポリス西地区中央テロリスト事件とは

 その日、カルマポリス西地区は未曾有の危機を迎えた。精霊フロレ率いるテロリスト集団に奇襲を受けたのだ。テロリストグループは全員仮面を被った13名の召喚師で構成されており、人数こそ少ないものの全員がエキスパートだった。彼らは治安が悪く、比較的警備の手薄だったカルマポリス西地区中央に散開。午前7時に一斉ドラゴンを召喚した。
 カルマポリス政府はこれに対し、200人の陸軍兵からなる陸軍第一中隊を派遣。しかし、そこで不足の事態が起こった。召喚師達によって呼び出されたのはドラゴンであったのだ。ドラゴンは通常、練達した召喚師にしか呼び出せず十数人しか存在が確認されていない。召喚には高度技術が必要だがドラゴンは屈強で非常に力が強い。高い知能に加えて特殊な技能を習得していることも多い。空が飛べる種類ともなれば陸軍では対処困難。さらに、召喚師がいるという性質上倒しても倒してもドラゴンを呼び出されきりがないのである。

 「あのときは驚いたよ。まさか、一介のテロリスト達があんな高等技術を持っているとは。カルマポリス軍にもドラゴンを呼べる召喚師は数人しかいないんだ。陸軍兵の標準装備である呪詛銃も効果が薄く、ワーム一体に対して数人がかりでようやく互角といった所。それが、ポンポン召喚されて来る。悪夢としか言いようがなかった。空軍の増援もあったがそれでどうにかなるレベルを越えていた」 (カルマポリス陸軍所属 ゲンダイ)

 政府は事態を重くとり、空軍を増援に向かわせて戦線を持ち直した。だが戦いは泥沼化し被害は広がる一方だった。戦闘員の約60パーセントを損失。
 そんな窮地にカルマポリス政府が声をかけたのが、アルファであるセレア・エアリスであった。

3.セレア・エアリスの履歴

 エアリスとは液体金属式妖怪型多目的防衛兵器である。液体金属の体を利用し、頭部・左右碗部・左右脚部・背部のうち同時に三ヶ所まで簡易的な変形が可能。腕はガトリングガンや剣、背中は飛行機ユニットに変形できる。カマイタチの呪詛を放つことができ、さらに飛行ユニットを展開すれば小型ミサイルも発射することができる。さらに自己修復装置が搭載されており、物理的な破壊はほぼ不可能。
 兵器としての弱点は二つあり、ひとつは一機起動するだけでカルマポリスの消費エネルギーの約十分の一に相当するエネルギーを消費し続けること。もうひとつは物質の状態変化を利用して肉体を制御しているため、過冷却や過熱に弱いことだ。
 セレア・エアリスは宗教団体によって非合法に産み出された。起動するための莫大なエネルギーを補うために千以上の子供の魂を融合・搭載している。魂を搭載しているが故、アンドロイドのも関わらず強烈な自我が存在する。外見・精神年齢は14才。薄空色の髪の毛が目立ついたいけな少女であり、外見だけ見れば兵器にはとても見えない。
 彼女は自らを産み出した宗教団体の方針に疑問を持ち脱退。その後、カルマポリス政府によって秘密裏に回収、アンドロイドであることを隠して生活を開始した。

 「彼女は強大な力を持つ上に思春期で情緒不安定だった。彼女に身分を隠させたのは、暴走をしないように監視して兵器として安全に運用するのが目的だった。当然防衛省内部でも大きな問題になったよ。アンドロイドとはいえ彼女には魂あり、意思がある。しかも精神年齢は14才。人権を与えず、軟禁して兵器として利用するのはあまりにも非道なやり方だ。でも、反対したが上はまるで聞く耳を持たなかったよ」 (カルマポリス防衛省所属 ナカタニ)

 経歴を隠していたことや、宗教団体により育てられたことが災いし、価値観や感性の差から学校で嫌がらせを受けた。政府によって宛がわれた孤児院でも兵器ゆえの圧倒的な力を恐れ、誰も近寄らなかったという。それでもセレアには反撃をすることができなかった。相手の怪我に繋がるようなことをすれば政府に隔離されてしまうのが明らかだったからだ。さらにことあるごとに住民権を人質に国の兵器として利用された。常人には耐えがたい苦痛であった。
 そんなとき彼女を支えたのは彼女の監視担当であり、オペレーターでもあったタニカワ教授であった。彼は国に与えられた役割を越えてセレアに声をかけ、支え、苦労を分かち合った。唯一セレアの真実を知る最大の理解者として彼女を見守った。
 数ヵ月後、呪詛学の権威スペクター博士と協力してワースシンボルのエネルギー低下問題の原因の解決を補助した。この際に偶然ワースシンボルの原理を知ってしまい、事実隠蔽をはかる旧政府から命を狙われてしまう。しかし、他国からの支援もありこれを阻止。真実をカルマポリス民へ伝えようとするスペクター博士を影から支援した。

 「ワタシは大きく彼女に助けられたよ。旧政府から命を狙われた時も彼女のお陰で生き延びることができた。お陰で今ワタシは種族差別を乗り越えて研究を認められた。今では彼女への恩返しとして整備を担当している。液体金属を扱えるのはワタシ位しかいないのでね」 (呪詛学博士 ライン・N・スペクター)

 この一件により政権交代が起こり旧政府から新体制へと変わった。
 新政府は彼女を兵器としてではなく人として扱うことに決めた。
 セレアは自身がアンドロイドであることを公表し、種族差別の撲滅を呼び掛けるスピーチを各地で行った。それにより、種族や経歴を偽っていたが故の、周囲とのわだかまりも解けた。タニカワ教授の献身的な支えもあり学校でのいじめ問題を解決。孤児院からタニカワ教授の家へと引き取られ、平穏に暮らしていた。

 そんなとき、カルマポリス西地区が黒煙に包まれた。彼女は再び戦地へと舞い戻った。

ルビネルの黒髪を称える文章

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○エイプリルフールです

入力:UTF-16
出力:UTF-8

ルビネルの日常とツネコちゃん

※百合描写注意



教室
ツネコ「ルビネル、生徒会としてあなたに警告する」

ルビネル「......」

ツネコ「女子生徒との不純な交遊は止めて」

ルビネル「なぜ先生ではなくあなたが注意するの?」

ツネコ「同クラスの女子から直接頼まれた。先生は事態を軽んじてあなたに強く言わない」

ルビネル「一理あるわね」

ツネコ「今後一切そのようなことはやめて」

ルビネル「肝に命じとくわ」

ツネコ「ところで」

ルビネル「ええ」

ツネコ「今日生徒会の用事をキャンセルした。これから直接ルビ......姐様の家まで案内して欲しい」

ルビネル「クスッ......いいわよ。それにしても、生真面目なあなたが『予約』するとはね」


帰り道

ルビネル「生徒の規範である生徒会のツネコちゃんがこんなことしていいの?」

ツネコ「私は先生から信頼されている。ノーマークだからばれる心配はない。姐様には迷惑をかけない」

ルビネル「それもそうだけど、さっきあなた言ってたこととやってることが矛盾してるわよ?」

ツネコ「私の生徒会としての役目は姐様に警告をすること。それ以上のことは言われてない」

ルビネル「あなたのそういうきっぱりとしたところ嫌いじゃないわ」

ツネコ「ただ、最近姐様は派手に動きすぎているのは事実。私も協力するから、クラスメイトにも極力バレないようにして」

ルビネル「ありがとう、ツネコちゃん。眼鏡がずれてるわよ」

ツネコ「あ......」

ルビネル「ねぇ、あなたは男子との恋愛とかには興味ないの? 狐型サターニアって結構人気だったはずだけど」

ツネコ「男性恐怖症で......」

ルビネル「そうなの。宝の持ち腐れねぇ。絶対モテるのに。紫色の髪に映える白い耳が......あぁハムハムしたい」

ツネコ「はじめて......なので......その......優しくお願い......」

ルビネル「大丈夫よ。痛くしないから安心なさいな」

ツネコ「はぃ......」

ルビネル「それにしても生徒会でも特に真っ当で、優秀で、ついでに先生に好かれるあなたがどうしてこういうことに興味を持ったの?」

ツネコ「人間関係でストレスが貯まって......勉強とか習い事の方でも伸び悩んでいる。親と先生に息抜きを進められた。体を動かすようにと」

ルビネル「でも、あなた運動嫌いだったわよね?」

ツネコ「そう......だから、なかなかいい解消法が見つけられずにいた。......そんなとき頭に浮かんだのが姐様のお遊戯」

ルビネル「私に頼むときのあなた、今以上に緊張してたわよ。本来なら私を注意しそうなくらい真面目なあなたが、私に頼み事をするのは大変だったでしょうに」

ツネコ「うん。人として慕っているとはいえ、正直心苦しいところもあった」

ルビネル「あのときの縮こまったあなたもかわいかったわぁ......もちろん今のあなたもかわいいんだけどね」

ツネコ「とんでもない」

ルビネル「謙遜しなくていいわよ。少なくとも私からそう見えるのは事実だから......」

ツネコ「あっ、ありがとうございます」

ルビネル「その照れ顔いいわぁ~。これからツネコちゃんを独り占めできると思うと心が踊るわ」

ツネコ「もしご期待に......」

ルビネル「大丈夫よ。あなたは何も心配しなくていいの。私に身も心も任せるだけでいいから」

ツネコ「いいんですか?」

ルビネル「ツネコちゃんはいつも人を引っ張る側でしょ。でも、今日は私に思う存分甘えていいから、ね」

ツネコ「ひぅっ!?」

ルビネル「フフッ......。ちょっぴり触れただけなのにずいぶんと......。ますます今夜が楽しみねぇ」

ツネコ(もたないかもしれない)

ルビネルの日常と後輩

※百合描写注意


後輩「ルビネル先輩、ちょっといいですか?」

ルビネル「フフッ。いいわよ」

後輩「いつになったらナンパ止めるんですか? 先生にも何度か注意されているんでしょ?」

ルビネル「さあ」

後輩「言われて直せないって先輩、それって変ですよ」

ルビネル「ええ。私は変よ」

後輩「そうやってすぐに変って認める時点でおかしいです」

ルビネル「そうかもしれないわね」

後輩「ああ、もう。そもそもあたしには同性に興味が行くなんて理解できません。世間的にはアウトですよ」

ルビネル「世間って、何?」

後輩「はぁ、そこからいちいち説明しなきゃなんないんですか、先輩」

ルビネル「世界的には同性愛は普通よ」

後輩「ここはカルマポリスで、しかも学校内です。先輩のナンパが原因で何人もの生徒が迷惑してるんです。少しは人のことを考えたらどうです?」

ルビネル「具体的にどういう迷惑を被ってるの?」

後輩「......あたしの友人のトモコがあんたにナンパされたんだよ。それからあいつ、ことあるごとにお前の話ばっかするようになった」

ルビネル「そうなの。トモコちゃんがあのあとねぇ。それの何が迷惑なのかさっぱりわからないわ。私の話をトモコちゃんがするのがそんなに気にくわない?」

後輩「あいつはあんたに惚れっちまったんだよ。本人は自覚してねぇけど、端から見たら明らかにそうなんだ。お前にはもう恋人もいるんだろ? 恋人がいるのに......それって浮気じゃねぇのか? あんたの浮気にあたしの友達を巻き込むな」

ルビネル「そう。それは失礼したわ。あの子が汚れるのがあなたは我慢できないんだぁ。例えそれがあの子自身の意思でも」

後輩「先輩がそそのかしただけだろ」

ルビネル「私は誘っただけ。彼女が乗ったまでよ」

後輩「どちらにせよ、友達として危ない火遊びは止めるさ」

ルビネル「私にはあなたが友達を縛っているようにしか聞こえないけど」

後輩「常識の外へぶっとぶのを止めてるだけだ」

ルビネル「常識ってなぁに?」

後輩「あのなぁ!!」

ルビネル「あと、私の恋人は了承してくれてるわよ。そもそも浮気っていう概念がないの。残念だったわね......。あと何か言いたいことはあるのかしら」

後輩「チッ。そのまま続けてると、背中を刺されるんじゃねぇか。嫉妬した女子によ」

ルビネル「いいの。嫉妬で冷静さを失うほど愛してくれるんだったら私、思わず受け止めちゃうわ」

後輩「狂ってる」

ルビネル「ところであなた」

後輩「なんだよ」

ルビネル「そのトモコちゃんのこと好きなんでしょ」

後輩「はぁ!?」

ルビネル「やたらと同性愛を批判してくるのって、あなたが元々同性愛で、でもそれを隠して生きてきたのにどうどうと公言をする私にイラついてを見てキレたんじゃないの?」

後輩「勝手に決めつけんな。消えろ」

ルビネル「じゃあ、おいとまするわ。回りに流されず自分に正直に、ね」

後輩「二度とあたしに顔を見せんな」

ーー

トモコ「先輩! ありがとうございます!」

ルビネル「トモコちゃん、私を噛ませに使うなんて度胸あるわねぇ」

トモコ「あの子、ちゃんと仕上がりましたぁ?」

ルビネル「ええ、もちろん。......行ってらっしゃい。告白頑張ってね」

トモコ「えへへ。頑張りまーす!」