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フールのサブブログ

PFCS 用のサブブログです。黒髪ロング成分はあまり含まれておりません。

少し昔話をしよう PFCSss

 わたしの故郷、エルドランは大陸で起きた妖精大戦に巻き込まれていたの。だから、とても妖精と妖怪を恐れていた。
 でも、わたしの恋人は妖怪だった。彼はその事を隠してわたしと付き合っていた。
 彼は目立たないけど優しい妖怪だった。生物学が大好きで、普段はあまりゃべる人じゃないのに、生物の話になると途端に話続けるの。わたしがやんわり話を止めると、彼は顔を赤くして恥ずかしがるのがお決まりだった。
 彼の話からは、興味のない人でも楽しく聞けるように、考えて工夫しているのが伝わってきた。
 わたしはそんな彼と一緒にいるのが大好きだった。あえて、生き物の話題をふってずっと話を聞いてるの。そのうち、一日に何時間も話をするようになって、気がついたら付き合っていた。
 先に告白したのはどっちだったっけ。彼は「まだ成人してないじゃないか」と、照れつつわたしに指輪をはめたの。
 それから、わたしは彼の旦那を名乗るようになっていった。友達からは身長の差でお父さんとお子さんって呼ばれてたけど。
 そんなある日、家で彼と夕食を食べていると……突然怖い人たちがやって来て、何もかもが終わった。押さえつけられ、目隠しと手錠をつけられると車の中に連れ込まれた。手錠をつけられるときに指輪が落ちてしまった。泣き叫びながら逃れようとしたけれど無理だった。せめて、指輪を拾いたかった……。
 わたしと彼は離ればなれにされたあと、怖い人に船でつれていかれた。行き先はノア新世界創造教の本堂だった。

 本堂での生活は最悪だった。暴力拷問実験恥辱、思い出すだけでも涙が溢れてくる。でも、どんなに辛いことでも、愛する人の顔を思い浮かべれば乗り越えられた。
 入獄から数週間した頃だった。寒い寒い牢屋の中で一人で泣いていると、ペストマスクの男が部屋に入ってきた。そして、大きな何かを投げつけられた。
 わたしに投げつけられたのは魂を抜かれ永遠の眠りについた彼だった。指にはわたしが落としてしまった婚約指輪が輝いていた。
 こうなってしまったのは、彼に告白したわたしのせいだった。その上、彼の肉体を研究に利用する非道な自分が許せなかった。そして何より、数々の悲劇を作り出しているエルドラン、さらにはそれを放置するこの世界そのものが憎かった。
 わたしはどこまでも辛く暗いこの世界に対しての復讐を誓った。

 絶対に彼と一緒に幸せになってやる、と。

 あのときの姿のまま!
 あのときの心のまま!
 あのときの記憶のまま!

 わたしたちはもう一度出会い、一点の曇りもない幸せを手にいれてやるっ!
 わたしは彼の指から指輪をとり、もう一度自分の指にはめた。もう二度と奪われたくないと願った。
 その時、ペストマスクの男のポケットから薄紅色に輝くなにかがわたしの胸に突き刺さった。何がわたしの心臓を貫いたのか理解したとき、わたしは『能力』に目覚めた。
 魂の力を使って、外科的な肉体の治療をする力だった。わたしの心臓は薄紅色のメスに貫かれているにも関わらず、能力によりメスと接触している部分がすさまじい速度で修復され続け、動きを止めることはなかった。
 わたしは胸に突き刺さったメスを抜くと、ペストマスクの男に投げつけた。

 そして、皮肉を込めてそいつのマスクを奪った。

 それを境に能力は急激に開花していき、しまいには頭を撫でるフリをして後頭部に指を指すだけで、神経を弄れるようになっていた。
 わたしは整形と色仕掛けで看守達をおびき寄せ、エンドルフィン(脳内麻薬)依存症にして支配した。
 次に恋人の遺骸を手術して筋力を増強した。さらにもともと小柄だったわたしの体を若返らせ、さらに小さくすることで、遺骸を身にまとった。
 不意打ちで信者を気絶させつつ、ノア教の本堂を脱出。
 そして私の体と遺骸の間に空気を入れ浮くことで、泳いでエルドラン国を脱出した。これしか、彼と一緒に脱出する方法がなかった。


 脱出した後、私は能力を研究した。
 わたしは適当な野性動物で、どのくらいの精度でどのようなことができ、何が出来ないかを把握した。
 研究の結果、恋人の魂の宿ったメス以外の普通のメスでも能力が発動することがわかった。また、メスで触れないとなにも出来ないが、逆にメスを握り脳に突き刺すと、簡易的な神経の書き換えや記憶の操作まで出来ることがわかった。
 さらには時間をかければノア教で行ったように、恋人の体を神経や臓器の位置その他もろもろを調整することで、私の肉体の一部として生まれ変わらせるような、高度な技能も会得していた。
 (私自身に施した幼体化は常に能力影響下である私自身にしか出来ないが……)
 とはいえ、すさまじい精度に自分でも驚いてしまった。

 わたしはメスを使い、見た目から性別や国籍をも偽り、エルドラン国の医療機関に入った。露骨な妖怪差別に腹が立ち、数年でやめてしまったが。
 しかし、そこで病人と接っしたときに、死するときに魂の力が得られること、さらには魂の治療にも私の『力』が使えることがわかった。最後に……彼の魂を完全に甦らせるには数百人成仏させなければならないことも。
 そして、私が医療機関で発揮した優秀な解剖技術に目をつけたのが、あの元ドレスタニア国の王であるガーナだった。
 ドレスタニアで発生する自殺志願者の処理、解剖、そして死亡理由の擬装を依頼してきた。
 お互いに知り得たことは他言しないこと、遺体を利用して医療の貢献になるような研究データを集めること、その他複数の条件を設けて、私は承諾した。(そのうち一つに表向きは国際指名手配者扱いとなり、もしもドレスタニア兵に捕らえられた場合、犯罪者扱いで相応の裁きを受ける、というものもあった。そのため、私はガーナに雇われているのにも関わらず、ドレスタニア兵に追われるという複雑な立場になった)

 私は恋人を甦らせるためにひたすら人を解剖し続けた。

 でも、死に行く人たちにふれあうことで、考えが変わった。貴族階級の人間にも関わらず、自らの安楽死を依頼する人もいれば、凄惨な人生を送ってきたのに『私は幸せだ』と言い切る妖怪の奴隷もいた。それを見て、変えるのは環境ではなく自分であることを思い知らされたのだった。幸せの形もひとそれぞれなんだということも知った。
 それからは、ドレスタニアに限らず、ひたすら死と向き合い、神父紛いのことをして、人を成仏させてきた。
 私はある種の使命感を感じていた。
 死を望む人にとって生きるだけでも大変な苦痛だ。その苦しみを傷みなく、安らかに、人の役に立つ形で取り除くことが出来るのは私だけだ。
 私がやらなければ誰がやる?

 死は平等だった。子供がいようが後世に語り継がれようが、やがて皆から忘れ去られる。死んだら大抵の人は何も残らない。だからこそ、生きる過程――生きざまが大切であることも知った。

 私は自分の生き方に疑問を持ち始めた。今まで私は『彼と幸せになる』という『結果』に依存するしかなかった。彼こそがたったひとつの心の支えだったから。幸せの形や、幸せになる方法、……そもそも幸せにならなくてもよかったはずなのに。


 私は新たにいきる理由を探し求め、解剖業を営みつつ、世界を旅した。そして、ひとつの明確な目標を見いだした。
 私のような化け物をこれ以上産まないよう、ノア新世界創造教を打ち倒し、祖国エルドランを救うと言う目標を……。




解剖鬼「……というわけで、今日は幼女の姿のままでーとだぞぉ!レウカドぉ!遊園地に行ってメリーゴーランド乗って、コーヒーカップルで… うふふふふふふふふ!!」
 」

レウカド「あっ悪夢だ……。そもそもあんた、恋人がいるのにいいのか」

解剖鬼「恋人なら魂が体の一部になってるから心配するな。心臓に突き刺さってる」

レウカド「それに、恋人を甦らせるために解剖してたんじゃないのか?こんな……遊び呆けていいのか?」

解剖鬼「前はな。だが、ただ普通に生きるだけでも辛い世の中に、わざわざ死んで安らかになった奴を引き戻すのは酷だろう?」

レウカド「……ああ。少なくともお前と同じ空間で生きているのが辛いぞ」

解剖鬼「因みに今逃げ出したら全裸でドレスタニア軍の人に抱きついて『レウカドに犯される』って大声で叫ぶから」

レウカド「……幼女の皮を被った悪魔」

解剖鬼「違うな。恋人の遺骸を被った幼女を被った悪魔だ」