フールのサブブログ

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ひな祭り ー当日ー 東塔攻略 PFCSss2

 東塔三階

 「なあ、ジェームズ」
 「なんだい?ジョン」

 塔の一室で白い修道服の二人は話していた。壁にはいくつもの宗教画が貼ってあり、部屋の奥には不気味な顔をした石像が置かれている。

 「巡回って辛いな」
 「ああ、特に夜番は辛いよな」
 「どーせ、全員PF能力持ちなんだし、ここまで厳重にしなくてもいい気がするんだ」
 「俺たちもこうしてサボってるしな」
 

━━

 五階と四階を結ぶ階段を静かに降りる。
 一応侵入者対策を意識して作られたのか塔の階段はワンフロアおりる度、別の場所にあった。ソラは階段と部屋境目にある微妙な出っ張りで体を隠し、人が二、三人通れるような廊下を覗く。
 敵は二人か。互いの死角を補いあっている。白い修道服は不気味だが、動きがぎこちない。
 それにしても殺風景な廊下だ。

 ソラは手前の信者があくびしたのを見て、一気に距離を縮めた。一瞬にして敵の喉元を掴み、叩き伏せる。もう一人が動こうと頃には、後ろに回り込み首に手をかけつつ足払いを決めていた。さらに、首の後ろに止めの一撃を見舞う。敵は声をあげることなく昏倒した。

 ソラが後ろに待機していた仲間に合図を送る。
 
 腰に刀を携えた先生と、クライドが音をたてないように後をつけてくる。昨日のペストマスクの医者による歩行訓練がここまで役に立つとは。
 ため息をつきつつ、赤いジャケットを整え、ゴーグルをかけ直した。

 「こうも上手く潜入できるとは思いませんでしたね」
 「これが国を支配している宗教の総本山とは思えないよなぁ……」

 クライドと先生がぼやいた。東塔のから侵入したのはこの三人だった。
 西塔からはペストマスク、ショコラ、バトーの三人が侵入している。屋上でグレムと殺す助がボウガンを構えつつ、空からの敵を監視しているから、後方からの増援はまず無い。さらにバックアップとしてカウチュンドというライスランドの狩人がついている。
 このこの教団の航空戦力は侮れない。ジ・アースから輸入したドラゴンに乗る騎竜兵が警備や偵察に当てているため、通常の航空戦力だとまず勝てない。それを狙撃によって騎手を狙えばほぼ無力化出来る。
 敵に異変が察知されないよう、ドラゴンは打ち落としてはいない。が、ほぼ戦力外として扱っていいだろう。廊下の後ろから小型ドラゴンが追ってくるという悪夢は未然に防がれた。

 ソラたちは東塔の四階から三階へ静かにおりる。

 「また、敵がいるようですね」
 「今度は三人か。少し多いな。よし」

 クライドは炎の魔法を天上に放った。スプリンクラーが誤作動し、布お化けのような信者が突如水浸しになった。
 動揺しているスキに剣の峰打ちで三人とも打ち倒す。さらにスプリンクラーに氷の魔法を放ち、水を止め、廊下の扉をすべて凍らせた。
 
 「あなた、すごいですね。剣の腕もさることながら、魔法まで使えるなんて」
 「努力すれば誰でもできるよ。敵の増援が来ない内に早く下に降りよう」

 先生の感嘆の言葉に対して、さりげなく廊下の水を凍らせてからクライドが言った。

 と、そこへ物音を聞き付けて階段を上がってきた信者が!
 
 「誰だ!きさま……」
 
 信者はまともに言葉を発することなく、地面に伏した。
 一瞬だった。先生の峰打ち居合い切が炸裂したのだ。
 
 「うぬのような雑魚を相手にしている暇はないっ!」


 延びている敵を踏みつけないように避けながら三人は三階から二階へ降りる。


 『ジェームスー!床が氷ってっ!止めてくれ!』
 『ジョン!くそ、扉が開かないと思って二人でエクストリームショルダータックルをきめたのが間違いだった。ウルトラハイキックボクシンにしておけばよかった』
 『グハ!グフッ!ブツブツ言ってないで助けてくれ!ジェームス』


 上の方で悲鳴が聞こえた。

 「まずいです!今の悲鳴で恐らく敵は襲撃を受けたことを察しました。増援は時間の問題です」
 「……まあ、狭い中3vs3をして、その音で部屋から応援が出てきて囲まれるよりはましだよね?」
 「ええ。何かあっても刀の錆にすればいいですし」

 そんなこんなで三人はあっさりと東塔の一階、渡り廊下付近までたどり着いた。