ひな祭り ー当日ー いきなりボス戦 PFCSss3
東塔の渡り廊下。バトー、私、ショコラの三人はいきなり敵幹部と対峙した。
「シャーヒャヒャハェ!お前らカルマポリス軍じゃねぇな。どこの国の軍隊だ?ノア新世界創造教になにしに来た?どっちにしろ侵入者はぶっ殺してやるけどよぉ。神様信仰してりゃ俺様は何だってしていいのよ!シャーヒャヒャハェ!」
修道服に身を包んだ、いかにもヤバそうな男だ。その修道服にもパサパサした茶色い斑点が所々付着しており、こいつが何をしているかを暗示している。
バトーが前に出た。
「わぁ、茶色いまだらがお洒落ですね!」
ショコラ、空気読め。
「俺がやろう。この狭さだと一人で戦うのが限界だ。二人は階段まで下がってくれ」
バトーがバットー……ゲフン、抜刀する。細身の剣だ。
敵は広角が引きちぎれそうなくらいの満面の笑みを披露している。修道服を着崩しており、中に真っ赤な服にすさまじい量の銀色の首飾りをつけている。
左右の目に二つずつある瞳孔が私たちを睨み付ける。
「俺はなぁ、お前らみてぇな侵入者を何人もぶっ殺してンだ。最近は雑魚ばっかりでよぉ!ノミのほうがまだいい勝負を仕掛けてくんだよ。お前らもノミ以下かぁ!」
バトーは全く恐れる様子もなく言い返す。……女顔のくせして結構勇敢だな。ふむ、好みだ。
「俺はお前に値踏みされるほど、安くはないし、井の中の蛙に負けるほど落ちぶれてもいない」
「そうかい!そうかい!面白くなってきたぁ!シャヒャヒャヒャ!」
敵は二つの剣を取り出した。赤い呪詛が垂れ流しになっており、不気味に光っている。
敵がバトーに切りかかった。バトーは剣を使って攻撃を受けようとしたが、一瞬にして剣がどろっと溶けてしまった。
「何っ!」
「俺の呪詛は剣を介して触れた金属を溶かす。一見地味だがお前みたいな剣使いにはサイコーに相性がいいんだぜぇ!」
バトーはかわす一方で反撃に出られていない。氷の魔法を放つも敵は全く怯まなかった。恐らく奴のパラレルファクターだ。
敵は武器を振り回してバトーに襲いかかる。一方的な死合いが展開された。ショコラも私も狭い廊下のせいで、バトーの加勢に入れない。
バトーはなすすべもなく壁際に追い詰められてしまった。
「俺に魔法は聞かない。剣も効かない。死ねぇ!!」
剣を弾く音とドスッという鈍い音が響き渡った。
ふぅ、助太刀するまでもなかったな。
バトーの手には氷で作られた剣が握られていた。氷なら鉄でないから敵の剣に触れても溶けない。魔法を直撃させた訳でもないからパラレルファクターで防がれない。
「はぁ、今日は厄日だ」
「いいや、吉日だったから勝てたんだ。立てよ」