ショコラと女の子 PFCSss
セレア「ドレスタニア……、人間の独裁体制であるとはいえ、差別はあまりない。ふむぅ、少し観光でもしてみるか」
白いワンピースの女の子はドレスタニア王宮のそばで散歩している。
ショコラ「遅刻遅刻~!!」
角からパンをくわえて飛び出してくる人影
ドンッ!
セレア「ひゃあ!?」
エアリスの頭が飛び散る。鼻から上がない状態で倒れた青年に駆け寄った。
セレア「お主!大丈夫か!?」
ショコラ「いてて…はっ!?!?すいません!!」
(変わった顔の方だなぁ)
ショコラ「お怪我はありませんか?本当にごめんなさい…」
数秒でセレアの顔は元通りに。
セレア「大丈夫。生まれつき結構打たれ強くての。いやぁ、再生中の顔に驚かないとはお主、結構やるのぉ!ホラーとかそういうのに強いタイプなのじゃ?」
にこりと笑いながら手を差し出す。
セレア「あ、この腕はつかんでも大丈夫じゃぞ?」
がっしりと腕をつかんでちぎれんばかりの速度でヴォンヴォン振る。
一方セレアはショコラの手の降りに合わせて体ごと宙に浮いたり降りたりを繰り返した。
ショコラ「おおおー!!!七変化ですか!?顔の他にもできるんですか!?」
セレア「もちろんじゃ!ほれほれ」
上下に振られた状態のまま、自分の体の一部をピンポン玉大の大きさのボールにして、器用にヘディングする。
ショコラ「す、す、すごおおおぉい!!!!!何者なのですかっ!?僕にもできますか!?」
ショコラは興奮した子供のように跳ね回る。目がキラキラしている。
セレア「おっ!主もやるか!」
テニスボールほどの大きさの玉を作り出して、ショコラの繋いでいる方とは反対側の手に投げた。金属光沢を放つ見た目とは裏腹にとても軽い。
セレア「因みにわらわは旅人じゃ。全国各地を回ったことがあるぞ!」
セレアは向日葵のような笑顔をショコラに向ける。
ショコラ「わぁいありがとうございます!!」
ショコラは天才的な動きでボールを何度も跳ねながら訪ねる。
セレア「あり得ない動きをしてもわらわが制御するから大丈夫じゃぞ!といっても、お主には必要ないかもな。アハハッ!」
そう言いながら、さらにボールの数を増やしてジャグリングを始める。
ショコラ「旅人さんですか!!ドレスタニアは良い国ですよ!!案内しましょうか!?」
ショコラはにっこにっこしている。
セレア「案内か。是非頼むぞ!この町のいいところを見せてくれんかのっ!」
ショコラ「おーまかせください!!一番いいお店を紹介しますよ!!」
いくつか渡されたボールをジャグリングしながらショコラが案内したところは、王宮の広い大食堂であった。
セレア「おお!ずいぶん広いお店じゃのぅ!」
目を輝かせながら歩みを進める。働いている人から、「何がおこっているんだ」という目で見られたが、全く意に介してない。
大食堂全体の外観から、壁にかけてある絵、食器の形まで興味津々のようだ。
ショコラ「おぉ✨いい匂いがしますね!!」
道を間違えていることへの疑問が厨房の匂いで消滅する。
ショコラ「コックさん!今日の日替わりメニューはな
んですか!?」
コック「ガーナ・チャンプルーとイナゴ豚の青椒炒めさ!チャンプルーはショコラ王にはまだ早いね!ハハ!!」
セレアはもとより疑っていないが、匂いを嗅いだことで、完全にここを食堂だと勘違いした。
セレア「わらわはチャンプルーもいけるぞ!苦くても大丈夫なのじゃ!」
『子供じゃないよ』アピールをする哀れなアルファ(14)。さりげなくショコラの手を握る。
コック「お嬢ちゃん、こいつぁ結構くるぜ?ガーナ様のオススメってんで作ってみてはいるが、文句言わないのはその角で食ってるご老人位だ」(ガーナ王とのチェス後)
ショコラ「に、苦いんですかっ!!」
ショコラの手は既にプルプルしている。チャンプルーだけに。
セレア「お主大丈夫か?食ってみるとわりと行けるんじゃぞ?ププッ」
いたずらに笑いつつ、角でチャンプルを食べている老人を横目で見る。黙々と、だが情熱的にチャンプルを口に運んでは噛み締めている……。
(……うまそうじゃのぉ)
コック「おっしわかった!そんな目で料理を見られては、出さない訳にはいかねぇな!」
ドン!!
コック「食ってみなお二人さん!!」
ショコラ「おおおお、お、美味しそうですネ!(ガタガタガタ)」
ショコラは料理を残したことは一度もない。故に辛い。
一方セレアは指先からフォークを生成し、
セレア「頂いちゃうのじゃ!!」
ガツガツと食べ始める。
セレア「ほらお主にもやるぞ。早く食わんと冷めるぞ?」
さりげなくショコラの鼻に金属片を飛ばし、塞いであげる。
ショコラ「うぅ!!??お兄様の好きな味です!!つらいです!!苦いです!!」
味は防げたが、むしろ苦味だけの食べ物と化し、半ベソをかいているショコラ
ショコラ「貴女も好きな味ですか!!??」
少女は様子を察してやっちゃった☆という悪魔のような笑顔をショコラに向ける。
セレア「ああ、好きじゃぞ?こっちのスプーンを使ってみるんじゃ。……そろそろ時間じゃしのぉ」
因みにこスプーン、口につけると一部が舌に張りついて味覚を変える。
ショコラ「あれ?さっきまで苦かったのに、凄く美味しくなりましたよ!!」
コック「なにい?王さまもついにこの味がわかるようになったか!ははは!!ガーナ様に報告しないとな!!嬢ちゃんはどうだいうまいかい?イナゴ豚青椒ももって帰りな!」
タッパに包んで渡す
ビニール袋の形をした金属製の何かをポケットからとりだし、タッパーを入れる。
セレア「やった!コックのおじさんありがとうなのじゃ~」
喜びで思わずショコラの舌の上に張り付いた金属を自分に戻してしまう。ちょうどショコラが口にチャンプルを含んだ時のことだった。
ショコラ「うっ!!??!!??コックさんやっぱりダメです!!僕はまだお兄様になれませんー!!」
かわいそうな顔をしてぴーぴーなく。突然、裏から地鳴りのような規模の音が聞こえてきた。
メリッサ「ショコラさまあああああぁぁぁあぁ」
セレア「えっ、待つんじゃ!のわぁっ?!」
バッシャーン。セレアの左半身が吹っ飛んだ。唖然とするコックに礼を言ってそそくさと去っていった。
セレア「ショコラ!またのっ!」
セレアが去っていったあと、左腕が蒸発していたが、誰も気づかなかった。
ショコラ「あ!!名前を聞くのを忘れてしまいました…。七変化さんまた会えますかね?」
ショコラは完全に忘れていた。ペストマスクとの待ち合わせのことを。。。
その後……
「メリッサー!どこですかー!メリッサー!」
「メリッサー!あ、旅のお方!メリッサを見かけませんでした?私と同じくらいの身長で、メイド服を着てて。大切な方々と待ち合わせをしておりまして、その場所をメリッサに話していたのですが……」
「多分、その『大切な方々』って俺たちのような気がするんだけど」