フールのサブブログ

PFCS 用のサブブログです。黒髪ロング成分はあまり含まれておりません。

ルビネルの協力願い PFCSss3

ルビネルの捜索願い PFCSss

http://thefool199485pf.hateblo.jp/entry/2017/05/28/091650

ルビネルの手術願い PFCSss2

http://thefool199485pf.hateblo.jp/entry/2017/05/31/172102

⬆こちらのssの続きになります

━━

Self sacrifice after birthday 3

 六人用の広い机の上に乱雑に広げられた本の山。ひとりでに動き、器用に本のページをめくりつつ、必要な箇所を市販のノートに書き写す17本のボールペン。そして、そのボールペンたちに向かって指揮者のように指示を出す少女。
 本の内容は公に出来ない禁術や、人道を外れた研究成果。知ってはならない世界の裏側についてなど。カルマ帝国を壊滅させた、ドラゴンの召喚ですら、ここにある文献で再現可能である。
 少女は本を棚から取り出しては机の上に広げ、ボールペンを操る力によって、高速でまとめノートを作っていた。

 私はそんな少女を本棚の狭間から見ていた。本来であればこの図書館は立ち入り禁止であるが、老人とルビネルが『とある人物』を説得してくれたお陰で、私も入ることが出来た。
 私はそれに感謝しつつ、ルビネルの手術の成功率を少しでも高めるために、手当たり次第、生体や呪詛についての禁書を開いては閉じていた。
 ……と、噂をすれば彼が来た。


 「勉強熱心なものだな、ルビネル。何か聞きたいことはあるか?」


 セミロングの髪の毛が額の包帯に触れている。整った顔に鋭すぎる眼光を宿し、ルビネルを見据える。
 ルビネルは黒い長髪を揺らし、振り向いた。男を見た瞬間、ルビネルの険しかった表情が本の少し緩む。


 「ガーナ様、ありがとうございます。まさに今聞きに行こうとしていた所です」


 ルビネルが一礼すると、ボールペンも一斉に静止し、ガーナの向きに傾いた。
 ガーナはドレスタニアの元国王であり、ここドレスタニア図書館の鍵を管理している。
 ガーナは私に目を向けたが、私が気にするな、というジェスチャーをすると、再びルビネルと向き合った。

 「私には三つほど質問があります。一つめは、どこにいるかもわからない人を探す方法についてです」

 ルビネルは千里眼の呪詛についてのメモ書きを指差した。それを見たガーナは、静かに頷くと語りはじめた。

 「人捜しの能力…。これは概念的方法であれば、大した力を使わずとも可能だ。明確な位置を探ることはこの世界においては不可能だろうが、信仰による占いや手がかりを辿る力に長けたものならばヒントとして得る事は容易い。我が国にも占いを行える者がいる。訪ねるといいだろう」

 ルビネルは軽く会釈すると次の質問を投げ掛ける。

 「では、次の質問を。ディランやサバトに乗っ取られた……と思われる人物を救う方法はあるのですか?」

 「乗っ取られた人物、これはその者により異なる。場合によっては引き剥がせるだろうが、引き剥がすどころか既に死を迎えている場合もあるだろうな。お捜しの者の生態がわからなくてはその可否もわからぬ」

 ガーナの言葉を聞き、決意したように最後の質問をいい放った。

 「では、そういった異次元の力を持つ者共と渡り合うだけの力を手に入れる方法はあるのですか?」

 「渡り合う力、か。それがあるならば問題は起きない。我が弟の持つ剣であれば時空ごと封印することができるが、例え瞬きすら行えぬ空間に閉じ込めても、時間的封印は、その分、彼らに力を得る刻が与えられるだけである」

 サバトやディラン、といった相手とはそもそも渡り合う術がない、という残酷な事実だった。

 「あり得ない進化をするほどの力をもつサバトのような相手には、永続的封印が最も愚かな行動であることは明白だ。故に、甦ることを前提に繰り返し殺すことを我が国では選択している」

 ルビネルは唇を噛み、唸った。

 「私がわかるのはディランかなにかに乗っ取られている、という事実だけ……。対処法もわからない。封印しようにも仮に敵がサバトだった場合逆効果、となると殺すしか方法はないのですね……」

 「若い頃の私ならば迷うことなく手にかけるが、そういう時代でもない。『必ず喰らいつくす呪詛』と公言した不死者から未だ生き延びている例もある」

 腹を少し見せる。想像を絶する痛みを伴うであろう、おぞましい傷が刻まれていた。全体を見ずともその壮絶さは充分ルビネルに伝わった。
 同時にガーナが言う、人の可能性というものの片鱗も感じたのだった。敵がどんなに強大で恐ろしいものであろうが、それを乗り越えるだけの力を人は秘めている。それをガーナは身をもって示していた。

 「この世界の者を甘く見ているということだ。
君だけの問題ではない。私もサバト相手ならば剣を抜こう」

 ルビネルはこの図書館に初めてきたとき以来、はじめて笑顔を見せた。

 「心強いお言葉、ありがとうございます。ぜひ、お助け願います」

 私はそんな彼女に一抹の不安を抱えつつ、次の禁書を取り出した。




━━

長田さんにガーナ様を貸して頂きました!さすがカリスマ、風格が違うッ!