女医レウカドとはた迷惑な二人 PFCSss
ペストマスクの旦那「失礼する」
老人「おお、ここが旦那一押しの病院ですかい?」
ペストマスクを被った怪しい男と焦げ茶色のスーツに身を包んだ老人が入ってきた。
レウカド 「うっ…あんたか…紹介制だとは言ったがさっそく連れてくるとは…」
ペストマスクから慌てて目を離す。
老人「旦那ぁ、こんないい女いるって聞いてなかんたんですが?」
老人はレウカド……の胸を凝視する
ペストマスクの旦那「ドクターレウカド、そういう趣味があるんだったら早く言ってくれ。同業者のよしみで無料にしてやるぞ?あ、手術よりホルモン注射のほうがいいか?」
レウカド「クソッ!ふたりとももう帰れ!」
一度開けた扉を閉めようとする。
旦那「ひ☆な☆祭☆り☆パワー!!」
老人「だんな!さすがッ!常識に縛られない意味不明な力で扉をこじ開けた!」
旦那「そのまま、腕をつかんでーー!」
老人は「ひっぺがす!」
一応二人ともドレスタニアから指名手配されてます。
レウカド「ぎゃあああ!!!やめろマジで洒落にならん!!!!」
旦那「ちっ、謎の力で服を脱がせられない」
老人「そりゃあないぜぇ、ペストマスクの旦那ぁ!」
旦那「仕方ない。あきらめるか……」
老人「じゃあ、商売の方はじめますか……ハァ」
レウカド「二度は無いと思え、そんときゃあんたらを殺す」
レウカドは商売、と聞いて老人に目を向ける。
旦那「ッ!その顔!もっと私を見下……」
いけない言葉を遮り老人が言った。
老人「ここに世界各国から集めた幻覚効果のある薬草がある。密輸で手に入れたから珍しいものも揃ってますぜ」
旦那「…これを使って幻覚作用のある煙玉をつくってほしい」
レウカド「ほほう、いいなこれ」
細い指で薬草の一つを摘む。
レウカド「報酬はいくらになる、金次第だ」
老人「俺らの生命線だからな。足りなくなったら定期的に買いにくる」
ペストマスク「とりあえず初回費で私の今月の給料の10パーセント。以降はまた、その時に話し合おう」
妙にリアルで生活感のある金額がレウカド手渡された。
……さらに、ライスランド招待券。
レウカド 「ああ…あんた給料制だったのか…最後のは…要らん」
老人「旦那の給料は本来報酬制だが、俺が割り出してやりました。冗談抜きでそれ、なけなしの金ですぜ」
旦那「……そんなことより受けとれよ。招待券。他のやつから勧誘されていることは知っている。私はなぁ!お前の手料理が食いたいッ!」
老人「あー、旦那がスイッチ入っちゃった」
レウカド 「なけなしの…そんなので俺をよく訪ねたものだ」
レウカドは前回の報酬(幻煙のひな祭り参照)で味を占めていた。女体と化した自分を指差して叫んだ。
レウカド「今俺こんなんだろ!」
その言葉を聞いて老人がニヤリと口を歪めた。
老人「大丈夫です。俺が残りは払っておきます。ねぇ、旦那!」
旦那「なんだその目は」
老人「新しい仕事がたんまりとありますぜ?」
旦那「えっ、これから?今日はもう」
老人「夜勤手当てつきますよ?」
旦那「いやいやいや」
老人「あとで請求しやす」
旦那「グフッ」
レウカド「いい取引ができるといいな」
老人ににこりと笑いかけ、それから真顔に戻る。
レウカド「漫才はいいからさっさと行ってくれ…身が持たん」
老人「んじゃ、またな」
旦那「……明日、疲労回復目的で立ち寄るから」
二人はなぜか千鳥足でドレスタニアの町に消えていった。
レウカド「目的以外で立ち寄らないでほしい…」とポツリと呟き、消えていくふたりを見ていた。
翌日の新聞
『またもや密輸発覚!主犯は精霊の老人!』
先日検挙された密輸船にて、大量の薬草が発見されました。犯人は国際指名手配中である老人(年齢:90才以上。精霊。以下の写真)であるとの見込みが強く……
「ふわあ(欠伸)犯罪者の治療するのも俺の仕事だけどな、密猟者の手助けは初めてだな」