フールのサブブログ

PFCS 用のサブブログです。黒髪ロング成分はあまり含まれておりません。

セレアとカラオケ

セレアとカラオケ


○マンション街・通学路
   制服姿のセレア・エアリス(1)。隣のタニカワ教授(58)と歩きながら話す。


セレア「テスト期間の半休はやはりいいのぉ。得した気分になる。さてなにして遊ぶか......」

タニカワ「おいおい、明日のテストの勉強はしなくていいのか?」

セレア「ばっちりじゃ。なんと言ってもお主の担当科目じゃからのぉ。もちろん、アンドロイドの機能は使わんからな!」

タニカワ「フフ、ありがとう。明日からまた真面目に勉強するんだぞ?」

   タニカワ教授の笑顔を見て、顔をそらすセレア。耳が赤い。

タニカワ「そういえば、来週テストの打ち上げをするそうじゃないか。クラスの子が楽しみそうに語ってたよ」

セレア「あっ......ああ。わらわも参加するが、それがどうかしたのか?」

タニカワ「カラオケをするんだろう?」

セレア「のじゃぁ!? 初耳じゃぞ! ちょっと待て、それは本当か!」

タニカワ「ああ。学級委員が話してたからまず間違いない」

セレア「歌える曲が......ない......。このままでは振られた時になにもできんぞ! いや、最悪合唱曲で乗りきるか?」

タニカワ「そこでだ、今日一緒に練習ついでカラオケにいかないか?」

セレア「いいのか!?」


カラオケボックス
   曲番号が乗っている本をパラパラめくるタニカワ教授。その様子を興味深そうに覗きこむセレア。


タニカワ「セレアはどんなジャンルの曲が好きなんだ?」

セレア「ポップかのぉ」

タニカワ「よし......。これだな。『メトロナポリタン』。はい、歌詞カードと楽譜。目でスキャンしてアンドロイドとしての機能を使えば、すぐに歌えるようになるはずだ」

セレア「サンキュー」

タニカワ「じゃあ、曲を流すよ」

セレア『メッ! トロッ! ポリタン! ナポリタンッ! Hey!』

   歌い終わったセレア。画面に写った点数をタニカワ教授が読み上げる。

タニカワ「88点か。上手! 上手!」

セレア「本当か! 次はサビもわかったし、抑揚もつけるのじゃ。もう一度、いれてもらえるかのぉ?」

タニカワ「いいぞ。ほい!」

セレア『夜の町~♪ ナポリタン~♪ どっちもからんで、離れられない~♪』

   再び点数を読み上げるタニカワ教授

タニカワ「二度歌っただけで90点......さすがセレアだ」

セレア「点数の目安は?」

タニカワ「私がはじめて歌うのは大体80点代前半。練習した曲は86~88点くらい。十八番が89~90点位かな」

セレア「本当か! じゃあわらわはいきなりお主の十八番級の点数を叩き出したと」

タニカワ「ああ。実際一回目は音程が合っているだけだったけど、二回目は抑揚やビブラートなんかも取り入れてて、正直普通に上手だぞセレア」

セレア「そういえば、お主も歌えるんじゃよな。交代交代で歌わんか?」

タニカワ「いいぞ。じゃあ、次は私の番だな」

セレア「どんな曲を選ぶのかのぉ」

タニカワ「よし、では......『てめぇら全員豚小屋にぶちこんでやろうか!』」

セレア「のじゃじゃぁ!?」

タニカワ「『社内にはびこる闇! 闇! 闇ぃぃ! セクハラ! パワハラ! マタハラ! 全部まとめて血祭りにぃ! シャア″ァ″ァ″ァァァァウト!!!』」

セレア「デスメタル!? 嘘じゃろ!? 冗談じゃろ!? どこからその声出してるのじゃ!? あと、その振り付けはなんじゃ!? 普通の服装だから余計にシュールすぎるぞ!」

   困惑するセレア。一方タニカワ教授、スッキリした顔でセレアにマイクを渡す。

タニカワ「ふー、84点か。やはりセレアには及ばなかったか」

セレア「点数以外の何もかもで負けた気がするのじゃ......」

タニカワ「こんな風に多少音程がずれても全力で歌った方が気持ちいぞ」

セレア「ところでタニカワはカラオケに行ったりするのか」

タニカワ「ああ。一人がほとんどだけどね。宴会とかだと空気を読んで選曲をしなきゃいけないからめんどくさいんだ。まあ、結局歌うんだけどね」

セレア「デスメタを?」

タニカワ「ああ。なんでかはわからないけど、友達の中で一種のお決まりみたいになってる」

セレア「ん? あれ素で歌ってるのか?」

タニカワ「ああ。素だけど、それがどうかしたのかい? 激しい曲は普通に歌えばああならないか?」

セレア「いや、それはない。ところで......」

タニカワ「質問でもあるのかい?」

セレア「どうしたら、ああいう風に歌えるんじゃ?」

タニカワ「そうだな......あ、そういえばセレア」

セレア「ああ」

タニカワ「戦闘服が液体金属でできてるだろう。あれを応用して衣装を変えたりとかできないかな? あと、衣装にエネルギー式の照明をつけたり」

セレア「ああ。できないこともないじゃろうな。じゃが、少々派手すぎじゃないのかのぉ」

タニカワ「テスト終わりの打ち上げなんだろう? ちょっとくらいはっちゃけてもいいんじゃないかな。それに、アンドロイドとしての長所を最大限生かすいい機会だと思う。どうせならアイドルの振り付けなんかも参考にして本格的に......」

セレア「タニカワ?」

タニカワ「......あれだ、アルファ技師に依頼して照明ユニットやお洒落ユニットもそのうちつくってもらおう。デザインは宇宙人でアンドロイドでドレスで近未来的な感じで......きっと似合うはずだ。あと、どうせなら......」

セレア「ターニーカーワー!」

タニカワ「......曲も作曲してもらうか? 作詞は私がして......そうだ、たしかこのカラオケマシンを提供している系列にそういうサービスがあったような......」

セレア「タァー! 二ィー! カァー! ワァー!」

タニカワ「はっ! どうしたんだセレア」

セレア「ずいぶんと楽しそうじゃのぉ~。そういう趣味だったのか......」

タニカワ「まて、なにか誤解してないか」

セレア「ふふふ......そうかぁ、わらわの妄想するのがそんなに楽しいかぁ~」

タニカワ「......」


   目をそらすタニカワ教授にセレア、ぐっと顔を寄せる。


セレア「あと、まだ一週間あるぞ」

タニカワ「今日はまず歌を完璧にしよう。振り付けがあるものに関しては私がビデオを借りてくる。今週でテストが終わるから、セレアはちゃんと勉強しててくれ。私はその間にダンスのビデオを探したり、技術部に駆け寄ったり、もろもろの器具の使い方を習得するのに当てる。卒業生にデザイナーがいるから衣装のデザインをお願いしよう。」

セレア「わかった。わらわも歌が上手に歌えるように、勉強の傍らカセットテープで復習してくのじゃ」


ナレーション(N)『後にセレアのクラスメートは打ち上げ会のことを語り継ぐことになる。完璧な音程と、電波な歌詞、キレッキレの振り付け、どこからともなく出現したまばゆい照明、目まぐるしく変化する衣装。まるでアイドルのライブを見ているような気分であったと』

夢見る機械のオープニングイメージを作ってみた

thefool199485.hatenadiary.com

 

 映画とかでよくある冒頭の「観客を引き込むために本編とはあまり関係ないけど派手な事件」を書いてみました。

 

ーー数ヵ月前


 壁に大量のモニターが設置されている部屋の中、無線と怒号が飛び交っていた。


 「第二楝壊滅!」

 <目標を発見、第三楝に向けて進行中。至急現地にバックアップを>

 <グレネード! グレネード! ぬぁっ>


 コンピュータを操作している人も全員額に汗が滲んでいた。指揮官は顔をひきつらせながらキビキビと部下に命令を出している。手に持つワインはとっくに空である。


 <こちらマクラウド!現場に向かった人間10名、妖怪7名、精霊13名、竜人2名、全滅!>

 <誰か助けてくれぇ!>

 「増援は遅れねぇ! 野郎共、持ちこたえろ!」


 無線に銃撃音が混じる。


 「司令官、このままでは本部が落ちるのも時間の問題です!」

 「連合軍から逃れたギーガンとアルベルトがあと30分ほどで到着!」

 「ギャングやマフィアに応援を要請しているが返答ない! あんの役立たずが!」

 頭を抱えながら司令官が口を開いた。


 「敵は一人だけ、それも少女だろうがっ!」


 司令官の怒鳴り声にモニターを見ていた人物が反撃する。


 「彼女には数万の子供の魂が搭載されているんですよ!? 勝てるわけが......」

 「それがどうした! 何人の魂を持とうと一人は一人だ! 弱点もわかってんだろ!」

 <グフッ......司令逃げてください! 敵が! あの女が来ます!>


 司令官の目に閃光が走った。あまりの轟音に鼓膜が破壊され音が消え失せた。仲間の叫び声が一瞬聞こえた気がした。
 かろうじて見えたのは、ウェディングドレスを身にまとった空色の髪を持つ少女だった。左目に傷が刻まれている。


 「クソッ! この化け物が!」


 司令官はなんとか立ち上がり銃を構えた。
 彼女の肉体に銃弾が飲み込まれていく。だが、何歩か後ずさっただけで効果はなかった。
 花嫁の両腕が銀色の液体と化し、意思を持つかのようにうごめき変形していく。そしてガトリング砲を彷彿とさせる姿へと変化した。


 「まってくれ、お前を兵器として産み出したのは侘びるから情けを......」

都市国家カルマポリス 交流用設定

都市国家カルマポリス 交流上の注意
 国名だけ借りるときは許可なしでもOKです。
 『国だけ』を借りる場合は、私の許可さえとれば勝手に小説やssなどに出してもOKです。旅行しに来たりしても可。許可は『公開前』にしてください。


都市国家カルマポリス
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 概要

 高層建築物が立ち並ぶ巨大都市群からなる都市国家。妖怪と少しのアルファで構成されている。

 都市は薄く緑がかった霧におおわれている。意識しなければ気にならない程度。この霧に含まれる呪詛エネルギーが電気とガスの代わりとなっている。そのため霧が届く範囲にひしめく高層ビルが乱立している。道路は整備されており徒歩や自転車、馬車や、呪詛式の車が主な交通手段。

 子供が出歩ける程度には治安がいい。
 また、種族間の軋轢や差別は改善した。

 基本的な技術レベルは1980年代を参照。また家電は呪詛で動くものが大半で他国に持ち出しても動かないものが多い。近年電化製品も発達してきている。

・カラーテレビが復旧
ファミコン並みのテレビゲームがある
・ラジオが現役
・携帯電話は肩掛け式で使っている人はまずいない

......など



 町にある建物
 ほとんどが高層建築のワンフロアや雑居ビルに埋め込まれている。もはや、ビルの中がひとつの町になっているかのようなすさまじい施設も存在する。

・時計塔
 カルマポリスを象徴する巨大時計塔。映画でよく破壊される。

・カフェ
 喫茶店。コーヒーなどを輸入している。とりあえず、大抵のメニューは揃っている。一般的な食べ物と呪詛添加物に別れる。

・レストラン
 家族向けと高級嗜好に別れる。

・フードコート
 異国の民から驚愕される文化。

・雑貨店
 様々なものが手にはいる雑貨店。ファッションショップから名産品やら、文房具やら様々な店が中にある。

・家電量販店
 電化製品が売っているお店。呪詛エネルギーメインの町なので、大半はウロボロスからの輸入品。

・ブランドショップ
 いかにも高級そうなブランド品が並ぶお店。庶民は近づくことすら恐れると言う。

・ファッションショップ
 庶民向けのファッションショップ。近代的な洋服の他に、各国から輸入した民族衣装も取り扱っているところがある。店の印象もさまざまで、とりあえず無難な服を売っているところから、和国専門店など先鋭的な店もある。

・同人店
 ナマモノが最近の流行り。

・洋菓子店
 高級菓子店ステファニー・モルガンの本店がある。他にも一般的なケーキ屋、クレープ屋、シュークリーム屋、輸入和菓子店など様々。
 ルビネルがよく利用している。

・文房具店
 鉛筆や消ゴム、ボールペンなど様々な文房具が売っている。最近100円のボールペンが売り出されてカルマポリスを震撼させた。

・漫画喫茶
 旅館のように払うことで個室を借りられる。漫画がたくさんおいてあったり、ドリンクバーやシャワールーム、マッサージチェア......など店によって様々な特典も。

・本屋
 おじさんが一人で経営しているような古典的なものから、百貨店の一角にあるような近代的なものまで様々。時おり建物ののイベントスペースで古本市が開かれることも。

・図書館
 借りた本はちゃんと返そう。呪詛がかかっているため、延滞していると恐ろしいことになる。

・デパ地下
 地下開発も優れており、迷路のように張り巡らされた地下通路に店が規則正しく並んでいる。競争が激しく店の入れ替わる頻度が高い。

・病院
 近代的な病院。しっかり整備されているので疫病などが流行ることはない。

・ホテル
 留学生御用達のホテル。たくさんの人が留まれるので団体で入国しても留まるところに困らない。

・オペラ劇場
 怪人が住んでいると噂されるオペラ劇場。見るものを感動させる大スターたちが演じる劇は圧巻の一言。

・サウナ、スパ、マッサージ店など
 健康に気を使うカルマポリス民が使うお店。普通に利用しても十分気持ちいいのだが、妖怪が利用すると格別。

・風呂
 呪詛を調合することでよりリラックスできるように改良されている。様々な色や効能が楽しめる他、卓球台や呪詛ドリンク販売所がセットになっている。

・カメラ屋
 フィルムカメラが売られている。動画再生できるような製品はまだ売られていない。現像に時間がかかるので早めの来店をおすすめします。

・港
 輸出入をやりとりする港。周囲にはちょっとした町がある。首都圏に続くぶっとい道路が畑のど真ん中を突っ切っている。

・畑や農場、牧場
 カルマポリスの西に位置する、霧のエネルギーが届かない土地を活用している。名産品はマイクロスウィート。

・森

 カルマポリス東に位置する広大な未開発地域。森林地帯となっており、呪詛の影響を受けた異形の生物がはびこっているので入るときはそれなりに覚悟すること。主にケルベロスワイバーン、ドラゴンなど。リスキーすぎたのと森の加護が強かったために開発を避けた経緯がある。捕獲や密漁はもちろん禁止。
 国境を超えるとエルドラン領にはいるため身分証が必要になる。
(都市の外縁は霧からのエネルギーを得られないためエネルギーを極力使わないような施設がある。さらに外側は農場や森といった未開発地域にはいる)


・工場
 一口に工場といっても様々なものがある。自動車、雑貨、生活用品、お菓子、家具......など。人ではいくらあってもいいので、積極的に諸外国の人を雇っている。特に妖怪は大歓迎。

・発呪所
 霧のエネルギーを作るところ。妖怪が協力して呪詛を絞りだし、それを加工して霧として放出する。妖怪の人数が多ければ多いほど発呪量が増えるため、バイトを常に募集している。


娯楽

・遊園地
 カルマポリス最大の娯楽施設。垂直式ジェットコースターをはじめとする数々のアトラクションは来る人を虜にする。蝶型アンドロイドのメリーゴーランドや、コーヒーカップなどがあり一日では遊びきれない。休日は人でごったがえす。郊外にたっており、首都圏からわざわざ呪詛を引っ張ってくることで緑の霧をなくし、呪詛で高層建築を隠し、現実に引き戻すような要素を極力排除した夢の国。

・運動場、スタジアム
 球技等がなされる運動場。呪詛を用いなくても用をなすことから、都市圏の外縁に建てられることが多い。

・キャンプ場
 町の外縁にある施設。カルマポリスの人々が人工物に疲れたとき、息抜きに利用する。

・カラオケ
 番号を入力すると曲が流れてくるタイプのカラオケボックス。最近安価になってきたため学生の溜まり場と化してきている。

・ボーリング、ビリヤード、ダーツなど
 正式なルールものの他に店舗ごとに独自のシステムを採用していることが多い。呪詛を使った変化球を許可するものや、障害物ボーリングなどよくわけのわからないものも。
 娯楽施設に固まっていることが多く、お子さまにも優しい。

・ゴルフ場
 紳士のスポーツ。カルマポリス郊外を開拓して作られている。

・映画館
 家族と友達と恋人と......。

・コロシアム
 庶民的な娯楽にするために、格闘技としての戦いを中心に展開している。

・カジノ
 国営のものと非合法のものに別れる。国営のカジノは比較的安全で娯楽施設となっている。依存を極力防ぐために未成年は立ち入り禁止。
 非合法のカジノは例の老人の部下が経営していることが多いので注意。

・夜の店
 バミ性のアルファを堪能したいのなら是非。

節分ネタのつもりだったんです

メインブログでもあげましたがこちらでも投稿しておきます。

節分ネタとして鬼が主人公のお話を書こうかな、お思って実際に書いてみたら、思いの外妄想がはかどり果てしなく壮大になっていきました。

気づいたら三か国を跨ぐ冒険ものに。実際に書くとしたら二つの島国をセットで地図を作り、その双子島の中に小国がたくさんある設定になるかと思われます。

人物はガッツリ、本編は軽めに......と設定を練ったつもりですが結局両方ともそれなりの量になり、この設定集だけで8000字を突破しました。何がしたいのかもはやわかりません。

ただ、せめて読んでいて苦にならない設定集にしようと、色々と工夫を凝らしたつもりなので、暇なときに読んでいただければと思います。




テーマ 献身、自己犠牲

コンセプト 妖怪の少女と鬼の青年が国を救う


舞台
 人間、鬼、呪詛使い(妖怪)、魔法使い(精霊)が住む遠い島。アルファは存在しない。

登場国:
・豊穣のアムガルド王国
 ネクリアの故郷。緑に溢れ、長きにわたり平和な国家であったが、それが仇となり物語冒頭でニブル帝国の侵略を受けた。町の見た目は中世のイメージに近い。ニブル帝国とは地続きでパーベィは海峡を挟む。
 ニブル帝国の占領下で大量の賠償金を請求され、極端なデフレが起こり町は失業者で溢れ帰った。帝国により暴動も鎮圧され、国全体が荒廃してしまう。町に派遣されている帝国兵も暴虐の限りを尽くしており、耐えられなくなった民や元軍人が地下でレジスタンスを組織している。しかし、国の最高の呪詛使いであったネクリアの母を失い、優秀な兵士はニブル帝国の最初の侵略で死ぬか捕虜にされ、かつてミッドフォール大戦で活躍した英雄レッドムートは行方不明。帝国に反逆誓ってはいるものの、反撃の芽は未だ出ておらず、形骸化してしまっている。



・辺境の国 パーベィ
 テンジンやテオの住む国。町を山と海で囲まれており閉鎖的。テオの住む家やテンジンの天地流武術の道場がある。ゼンザスをはじめとする隣国へ早く行くにはパーベィオン山脈を登り、中腹のトンネルを潜り、谷にかかるペーベィオン第一~第四大橋をわたる必要がある。橋が落ちた場合、他の橋を利用して大回りして目的の町へ行くか、海路を選ぶか、数日間の足止めを迫られる。
 閉鎖的ではあるものの国土そのものは山を除いても広く、海産物と農産物が国の収入源で船を介した貿易が盛ん。


・廃れた国ゼンザス
 パーベィの隣国でありパーベィオン第二大橋をわたり、国境線でホバークラフトを借りる子とで行ける。無法者が集まる国であり、帝国の支配も緩く、治安は非常に悪い。住む人は様々な国、様々な人種の人々が集まるが大半がわけありであり、町中に死体が転がっていてもあっさりと処理されたりする。
 政府は存在するようだが警察共々汚職にまみれておりまともに機能していない。レッドムートいきつけの酒場がある。



・侵略国家 ニブル帝国
 力と恐怖で周辺国をも占領下に置く独裁主義国家。自ら世界に戦禍を巻き、それを利用した武器の密輸を利用して国を潤している。
 灰色で長方形の建築が特徴的。一見明るく、カジノを中心とした娯楽施設に溢れた近代的な町並みだが、格差社会の極みと化している。高級階級がひしめく都心部があり、その回りにスラムや下級階級の住宅街が囲んでいる。スラムではひとさらいや臓器売買が日常的に行われており、国の問題点をありありと写し出している。
 ネク=ロシスを扱えるネクリアの一族と、アムガルド王国で開発された大型飛行船を狙い侵略する。
 本編では登場しない予定。


・天空要塞
 もともとアムガルド王国で開発された大型飛行船を軍事用に改造したもの。俗称空飛ぶクジラ。奴隷を用いた人海戦術でわずか三ヶ月で完成させた。完成する前にすでに大量の死者を出しており、味方からも死を呼ぶ要塞などと形容される。
 腹の部分に呪導砲の発射口がある。対空呪砲 80機、対地魚雷発射口4門、局所迎撃用ドラゴンライダー16騎、呪導砲 1機など豊富な武装を搭載している。だが、突貫工事なので全長一キロにも及ぶ巨体を守るにしてはいささか不十分。そのため、船員の中には設計を知られているアムガルド王国のレジスタンスに危機感を抱くものもいる。


登場人物


ネクリア
・負け犬タイプ。

 アムガルド王国のお城で育てられたお嬢様。白髪の美少女。母親が宮廷一の呪詛師であり彼女もその血を引いている。父親は兵士。
 親から教わる呪詛の実践が大好きで、日頃から秀才っぷりを発揮していた。逆にカメレンから教わる座学嫌いで、しょっちゅう抜け出してはカルメンを出し抜きサボっていた。

特徴:
・対人恐怖症
・消極的
・情緒不安
・常に誰かの後ろに隠れる
・優しく、自分のことよりも他人のことを優先する。
・動物に好かれる。
・いざというとき勇敢になる。


価値観:
・もう、何も失いたくない

欠点:
・対人恐怖症。
・心の傷によってしゃべるのが苦手。
・臆病で泣き虫。
・自己肯定が低い。

求めるもの:
・祖国の復活。

なぜ求めているのか:
・安全、安心に暮らしたい。普通の女の子として生活をしたい。

失敗したらどうなるのか:
・テオとネクリアの祖国が帝国の手に落ちる。→世界最高の軍事大国の完成

変わるもの:
・テオを通じて多くの人とふれあうことで、対人恐怖症や泣き虫だった自分を克服する。

物語でのたち位置:
 ネクリアの一族は代々赤薔薇の宝玉が胸に埋め込まれた状態で産まれてくる。宝玉は魔法ネク=ロシスの発動に必要である。ネク=ロシスは完全無効魔法と呼ばれており、ニブル帝国の主力兵器を問答無用で停止させることができる。そのためニブル帝国に命を狙われている。

 帝国はネク=ロシスを恐れネクリアの住むアムガルド王国を侵略する。カメレンと両親の犠牲で皇帝ガンティス魔の手から辛うじて故郷を脱出した。船の二重底で眠っている間に辺境の国パーベィに漂流し、そこでテオに拾われる。テオはネクリアに一目惚れし、ネクリアを守ることを誓う。
 帝国はネクリアの祖国から大型飛行船を奪い、それに兵器を詰め込み天空要塞と呼ばれる要塞へと作り替えた。
 その三ヶ月後、帝国からの追っ手を逃れるために修行を終えたテオと共に村を脱出。テオの師、テンザンの協力により大橋を渡り、無法者の国ゼンザスへと逃れる。ゼンザスの酒場でやさぐれている英雄レッドムートを説得する。いざこざに巻き込まれたもののレッドムートのワイバーンでアムガルド本国に戻り、反乱軍本部に合流。そこでレッドムートから天空要塞の深部でネク=ロシスを発動させ、陥落させる作戦を立案される。同時にネクリアに発信器がつけられていたことが発覚。このままでは数時間でレジスタンスの基地の場所がバレていることがわかった。
 レッドムート率いるワイバーン小隊は先手を打ち、天空要塞へと接近する。庭園は元々ネクリアの祖国の飛行船であることを生かし、絶望的な戦力差を縮める。数多くの犠牲を出しながらも天空要塞にテオとネクリアは侵入する。
 敵の将軍として潜伏していたカルメンの力を借りて皇帝の元へとたどり着き、テオと共に皇帝を倒した。その後、皇帝の間から天空要塞の動力部へと行き、ネク=ロシスを発動させようとするが......


会話サンプル

ネクリア「......わたしがいたらこの国は帝国の餌食になってしまう」

テオ「じゃあ、一緒に逃げよう」

ネクリア「......お願い。一人で行かせて。わたしはこれ以上大切な人を失いたくない」



テオ
・普通タイプ

 ごく普通の人生を歩んでいた鬼の青年。就職戦争を勝ち抜き、ようやく一段落ついたところで精神的に疲弊している。そのため、道場にもいかず仲間と遊び呆ける日々。テンジンにたまには運動したらどうだと進められているが、本人は気にしてない。


特徴:
・怠け者。
・肝心なところで手を抜いてしまう、爪の甘い性格。
・目的意識が薄く、目先の楽を優先しがち。
・テンジンから武術を学んでいる。しかし最近は怠けぎみ。
・異性に対して嫌煙している。
・一度スイッチが入るとそのこと以外を考えられなくなるほど熱中する。
・そんな自分が嫌いで自己肯定が低い。
・鬼特有の怪力を持つ。

価値観:
・大好きな人を守るためなら全てを捨てる

欠点:
・楽な方向にいきたがる。
・ネクリアのためであれば倫理に反した行動にでることも。

求めるもの:
・ネクリアの愛

動機:
・自分を認めてくれる存在が欲しい。
・誰かから強く必要とされたい。
・片想い

失敗したらどうなるのか:
・精神的な支えを全て失う

変わるもの
・最初こそ怠け者だったが、ネクリアと出会ってからは彼女のために積極的に行動するようになる。
・元々正常な価値観の持ち主であったが、冒険を通して少しずつ変わって行く。

物語でのたち位置
 ネクリアを発見し保護。そのときに一緒に赤い薔薇の宝玉を見つけて拾うもまばたきをした瞬間に消えてしまう。ネクリアに力をつけたら過去を話す、と言われてテンジンに住み込み修行を申し込む。その三ヶ月後、故郷に帝国が侵入した際にテンジン、ネクリアと共に脱出。
 旅先では修行の成果を存分に発揮し、ネクリアの守護者として活躍する。
 天空要塞では皇帝ガンティスと対峙。力による絶対の安心を求める皇帝にたいして、どんなに強い力を持とうが内部からの反乱やより強い存在の発生で容易に平穏が崩れ去ることを指摘。激怒した皇帝を二人で迎え撃つ。物理攻撃をテオが受け流し、魔法攻撃をネクリアが防ぎ、阿吽の呼吸でガンティスと戦い、打ち勝つ。その結果、自分の目的が国や世界を救うことではなかったことを知ることになる。


会話サンプル


ネクリア「ずっと一緒にいてくれるの」

テオ「ああ。少なくとも、君がご飯を食べるまではな」

ネクリア「見知らぬわたしのために?」

テオ「見知らぬ人でも見殺しにするのは嫌だから」

ネクリア「優しいんだ」

テオ「優しいだけじゃないぞ。武術も習ってる」

ネクリア「今日はサボり?」

テオ「いや、毎日サボってる」

ネクリア「だめじゃん......」



テオの両親
 当初はネクリアを家に置くのは反対で孤児院に届けろとテオを説得しようとする。が、テオがネクリアのために道場に通いだし、生き生きとしはじめたのを見て、考えを改める。
 道場に泊まり込みで行くといったテオを(主に資金面で)全力でサポートする。帝国にも「テオは女にたぶらかされて家出した」と一見帝国に協力しているようなフリをして嘘をつき、時間を稼いだ。


会話サンプル


母「こんな子を泊めてどうするつもり? 早く孤児院に連絡しなきゃ!」

テオ「訳ありな上に、とっても疲れてる。ちょっとは気を使ってやれよ。どう見たって一般人じゃない」

父「なら、自分で面倒を見てやりなさい」

母「まって、変なことに巻き込まれて就職取り消しになったらどうするの。いくつも受けて辛い思いをしたのはあなた自身でしょ。せっかくのチャンスを棒に降らないで!」

テオ「そのチャンスのためにあの子を売るのかよ。就活だったらいくらでもしてやるさ」

父「もし、そうなったとしても後悔するなよ」



テンジン
特徴:
・テオの師。
・がっしりとした体型のスキンヘッドの人間。白い胴衣を身に纏っており、一見めっちゃ怖い。
・天地流武術の達人。ただし、門下生が全く集まらず唯一の門下生であるテオも乗り気でない。
・年齢のわりに気さく。
・テオの実力と自分の指導力を買っており、毎日自分に従事すればあっというまに達人になれると豪語する。
・天地流武術の精神である、「拳は守るために奮う」をモットーとしている。
・元々アムガルドの出身者であったが、偶然出会ったテンジンの後の師に弟子入りし、パーベィに移り住んだ。そのため、アムガルドに時々いっており内情に詳しく、目的を失ったレッドムートがゼンザスの酒場をよく出入りしていることもつかんでいた。
・時事にも敏感でネクリアの素性を察しており、テオに全力で指導する。
・ミッドフォール大戦でニブル帝国の皇帝に成り上がったガンティスと共闘した。その際ガンティスが裏切ったために他の仲間が全滅している。


価値観:
・武の心と共にあり

欠点:
・少々強引。

目標:
・テオとネクリアを助け、帝国の崩壊の手助けをする。

動機:
・「弱きを守る」という己の信念のため。
・テオの成長を見届け、その意思を尊重したため。

変化:
・最終的にネクリアの祖国で道場を開き、大量の弟子を得る。また、ネクリアの第二の師となる。

その他:
・天地流武術
 合理的な格闘学に魔法や呪詛といった概念を付属した総合格闘術。大気中に存在するエネルギーの流れを読みそれを自らの力とする。そのため受け技が非常に上手。その一撃は人間にも関わらず鬼を軽くいなすほど。

立ち位置:
 テオの師としてテオを徹底的に鍛え上げる。自ら橋から落ちたものの、水面受け身で海まで漂流して生還。当人は旅の前半で別れてしまったものの、その生きざまは最後までテオやネクリアの心の支えとなる。


サンプル台詞:
テンジン「天地流武術は人を守るためのもの。傷つけるためにあるものじゃない。 戦うのは最期の手段。しかし、一度拳を抜いたら情けは要らない。守るべき者のため何より鋭い刃となれ!」

テオ「当たらねぇ......」

テンジン「踏み込みが甘い。それに力みすぎている。リラックスしてもっと鋭くついてくるんだ」



カメレン
 ネクリアの執事。髭が特徴的な初老の精霊。やせ形ではあるもののめっちゃくちゃマッチョ。幼少の頃からネクリアのことを見守っており、我が子のように愛している。ミッドフォール戦争にて従軍経験があり、判断力戦闘力共に非常に高い。長期変身の魔法を得意としている。

特徴:
・己を殺すことが得意。演技が上手。
・執事として活動しているときはどんな状況でも常に冷静。
・両親の次にネクリアを理解している。
・両親からも絶対の信頼をおかれており、しかるときはしかるし、誉めるときは誉める。
・時々出る素から感情豊かであることがうかがえる。。

価値観:
 仕事中は泣きませんよ?

欠点:
・実はネクリア並みの泣き虫。

目標:
・国の奪還。

動機:
・ネクリアに仕えているという執事のプライド。
・ネクリアの第二の親として彼女を育てることを夢見ているため。

失敗すると失うもの:
・執事としてのプライド
・自分にとって大切な人、生活、すべて

変化:
 旅の後成長したネクリアが自立したと認め、教師をやめ彼女を助ける存在へと変わる。

立ち位置:
・前半でネクリアを逃がすために彼女に変身する。その後行方不明となるが、敵の将軍として天空要塞に侵入したテオとネクリカと対峙。帝王の前に連行するフリをして彼らを最後の戦いへと導く。


カメレン「お嬢様、よくお聞きください。これから私が部屋から出て敵を引き付けます。その間にお嬢様は私と反対側に駆け、食堂に入ってください」

ネクリア「......船着き場への秘密の抜け道!」

カメレン「そうです、いつも私を出し抜くのに使っていた避難通路です! そこで、母君が待っておられます」

ネクリア「......あなた、あの通り道を知っていたのね」

カメレン「私めの不器用な気遣いでございます。勉強は誰だって嫌ですから。では」

ネクリア「カメレン! 行っちゃった......」




ネクリアの母
 ネクリアを逃がす際、船着き場で皇帝と対峙する妖怪。美しい白髪を持つ美女。夫の亡骸を見せつけられ動揺したところをガンティスの魔法によって仕留められる。自爆によって皇帝を道ずれにしようとするも失敗するが、真の目的はネクリアを脱出させること。その際に自分の宝玉をネクリアの船にのせる。

 「あなたは生きて幸せになって!」



レッドムート
 西部劇のガンマン風の出で立ち。種族は妖怪。銃に呪詛をこめて発射できる呪弾を使える。
 ゼンザスのとある酒場でぼやいていたところをネクリアとテオに声をかけられる。レジスタンスはもう駄目だとか愚痴を言いまくる。が、ネクリアの名前を聞いた瞬間に立ち直る。ネク=ロシスがあれば戦況を逆転できると知っているからだ。

特徴:
・ミッドフォール大戦にてワイバーンを繰り、敵から赤い災厄と恐れられた英雄。
・テオとネクリアをレジスタンスキャンプや天空要塞に導く。
・酒が大好きで飲みながら戦う
・自分の命を軽々しく思っている節があり、そこをネクリアに指摘され、逆上する。

価値観:
酒と戦いが生き甲斐

欠点:
心が折れるとただのアル中。
・へたれから脱するとよくも悪くもプライドが高くなる。

目標:
・国を救うためテオとネクリアを天空要塞へ送り届ける。

動機:
・とにかく戦場に出たい。
・死ぬなら戦士として死にたい。

失敗すると失うもの
・英雄としての自分。命。

変化:
・アル中から英雄へと華麗に変身。

立ち位置
 ゼンザスの酒場でやさぐれていたところをネクリアとテオに話しかけられる。周辺国は次々侵略され、反乱軍の士気は下がり、意地のみで形骸化していると話す。が、ネクリアの名前を聞いてやる気を取り戻す。
 二人を反乱軍基地へと導き、ワイバーン小隊を率いて天空要塞に侵入する計画を持ち出す。ネクリアとテオを天空要塞に送り届ける時、「俺は仲間の仇を打つ」と言って無謀な戦いを挑みに行く。
 その後、死んだかと思われたが、ガンティスが瀕死の状態で蘇りカルメンとネクリアを道ずれにしようとした場面で颯爽と現れ、皇帝に止めを差す。ネクリアの言葉を思いだし、思いとどまったのだ。
 その後はネクリアに傭兵として雇われる。


台詞

レッドムート「英雄と呼ばれたのも今は昔。今はただの飲んだくれさ。反乱軍はもう駄目だ。周辺国も侵略されっちまって意気消沈してる。反撃の見込みもねぇし、まるで葬式会場だ。ところであんたら名前は」

テオ「テオです」

ネクリア「......ネクリア」

レッドムート「!? マジかよ! オーケー、ついてこい。屈強な反乱軍が待ってるぜ」

テオ「......本当に信用して大丈夫なのか」



レッドムート「生き死になんて関係ねぇ。俺はやつらを絶対に許さん!」

ネクリア「命を粗末にしないで!」

レッドムート「お子さまにとやかく言われる筋合いはねぇ! 戦場では一番殺した奴が英雄になるんだ。そして俺は英雄、やりたいようにやる。オーケー?」



レッドムート「ヒーローは遅れて来るもんだぜ? オーケー?」

ネクリア「どこほっつき歩いてたのよ、このどアホ!」

レッドムート「おいおい、そりゃないぜ。もっと感動の再開を喜ぼうぜ? 涙なんか拭いてさ」





皇帝ガンティス
 絶大な魔力を持つ精霊。ちょっぴり太っており威厳たっぷり。人工的な白鎧に身を包む。ネクリアの祖国から奪った天空要塞を利用して世界を侵略せんとする野心家。ネクリアの祖国を侵略し、両親を殺し、テオの故郷すら戦禍に巻き込んだ。圧倒的な武力に酔っている反面、それを一撃で落としうるネク=ロシスを極端に恐れる。

特徴:
・帝国が世界を平定することで世界平和を実現させようとしている。そのために侵略行為を繰り返している。帝国は閉ざされた世界に刺した一筋の光だ、と思い込んでいる。
・自分の作戦遂行に邪魔なものは何者であっても排除しようとする。
・力が強く、帝国内では誰も逆らえない。
・過去の大戦で故郷を失っており、その時に聞いた兵の侵攻する「ぬかるんだ地面を踏みつける足音」がトラウマとなっている。
・ネクリアは故郷が侵略されたトラウマをテオと共に冒険し、様々体験を通して心を癒すとともに昇華しようとするのにたいして、ガンティスはより強い力を手にすることでトラウマを消し去ろうとする。
・テンザンとはミッドフォール大戦で共闘している。そして敵国に裏切っている。

価値観:
富が、力があれば安心できる。

目標:
 帝国による世界侵略。

動機:
 自分のトラウマである足音を消すため。


欠点
・思い込みが激しい。
・人間不信
・情緒不安定。
・激怒すると冷静な判断が出来なくなる。
・常に他国から侵略されることに怯えている。

失敗すると失うもの
・心の安定、安心。


物語での立ち位置
 前半でネクリアのすんでいた城を侵略しネクリアの両親を殺す。さらに、テオの故郷を侵略。テンジンを瀕死にまで追い詰める。
 ネクリアの故郷にあった巨大輸送船を奪い武装、天空要塞と称し兵器として運用する。
 終盤、ネクリアやテオの侵入経路からレジスタンスの基地の位置を逆算し、天空要塞の呪導砲で消滅させようとする。
 が、レジスタンス基地にたどり着く20分前にカメレンの陰謀によりネクリアとテオと対決する。あの手この手で時間を稼ぐも、テオとネクリアの機転の前に破れ去る。
 さらに、目的を果たしたカメレンとネクリアを道ずれにしようとするも、レッドムートの凶弾でこの世を去る。

閲覧注意!PFCS一周年記念全キャラ集合世紀末メタ会話IF大会

※メタ会話の塊
※ネタバレあり
※キャラ説明なし
※キャラ崩壊あり
※ストーリーなし
※IFです。本編および交流には一切関係ありません
※悪のりの塊
※そういうのが苦手な方はブラウザバック


解剖鬼「ん? なんだこれ、キャラ説明なく唐突に話が始まったぞ? 読者がおいてけぼりじゃないか。時間説明は? 場所は? この台詞を書く目的は? はぁ、とうとう読ませる気がなくなったのか」

老人「いや、今日はいいんですよ。企画の一周年記念ですよ? タイトルにも堂々と出てるし、企画に参加していない人、興味のない人は読みませんよ。パァーッといきましょう、パァーと!」

ルビネル「キスビットの方でもメタ発言してたし。あぁ~、私の没になった設定どうなったのかな。あれ、PFUGで過去に死んだ恋人の魂と融合してるせいで性別を時々間違えるとか、和ー巣シンボルの本体であるリムドメイジと戦って他の国のお偉いさんの力を借りて和解するとか。あとあれ、セレアとエアライシス(狼)の話はどうなったの?」

タニカワ教授「ルビネル、そういう間接的に自分の首を絞めるようなことを言わないで。誤字も酷い。あと、台詞が説明的すぎる。もっと映画みたくさりげなく読者に情報を伝えなきゃ......」

セレア「お主、こんなときまで真面目なんじゃな。わらわはもう初期の設定を見て青ざめまくってるぞ。なんじゃ、種族差別を憎み世界侵略を決行するエア様似の女の子! 薄すぎじゃろ! バックストーリーをもっと練ってから公開するんじゃ! 交流用じゃなくてストーリーキャラとして作ったわりにずさんすぎるぞ! っていうかわらわはなんでラスボスポジからはずされておるんじゃ! クロノクリスって絶対後付けじゃろう!? もっと計画性を......」

アルベルト「シャーハッハッハェ! 過去があるだけまだましだろ! 俺なんか一発噛ませってそれ以上役目をもらえなかったんだぜぇ! まあ、二回も改編してもらえたし、大暴れできたからいいけどよぉ! ちなみに独特な笑い声は実際にいってみて語呂がよかったのが『ハ』が三つだったからこうなったんだぜぇ」

キクリ「私なんて初登場時なんなの!? 能力が強力なだけなただのヒステリック女よ! 動機も過去もなにも決まってないってどういうことよ」

ヒリカ「姉様、一応クロノクリスに両親を殺されて、それを伏せられた状態でクロノクリスに勧誘されてノア教に入団したっていう設定が練られてたみたいです。ちなみにひな祭り直前に僕が老人に捕まって、それを餌に姉様が老人に捕まって、ひな祭り当日に活躍できなかった......なんていうシナリオも!?」

クラウド「でも、没だろ」

ジョン「ああ、没だ。よくある話だ。本筋に関係ないから削られるやつ。もっともそういう没ネタすらない俺たちは本当に救いようがないがな」

スペクター「そんな設定あったのか、読者に覚えられていないキャラ二人組。もっとも私はカルマポリスをなんで愛しているのかその理由が語られてないせいで行動理念が宙ぶらりんだ。後の祭りだがな」

ギーガン「あいつと戦えただけでもう俺満足だわ。まじ海賊団に憧れる。あと剣豪」

クラウド「俺たちなんか存在意義が宙ぶらりんだよ」

The.AIR「本家......技......文章......コピペ......(笑)」

ルビネル「私は元々マジメキャラで押していくつもりだったんだけどな......。でも、あのままいってたら確実にジョンとマクラウドの二の舞に」

クラウド「二の舞とか言うなよ」

エアライシス(狼)「完結マダー。トイレの神様マダン○、ア○テマ、アポカリ○ス......。あ、光って歯車カチカチする演出まだやってなかったな」

スミレ「本編で活躍したわりに設定が決まってない。せめて食べ物の好き嫌いくらい......」

ルビネル「大丈夫よ、シュークリーム食べればみんなかわいいもの」

アルベルト「俺もシュークリームを食えばかわいくなれんのかねぇ、舌も長げぇしよぉ! シャーハッハッハェ!」

解剖鬼「そうやってこの記事みたいに閲覧注意増やすの本当にやめてくれ。読者が身構えちゃうだろ。それだけで無気力が削がれるだろ。ちょっと考えればわかるだろう」

ルビネル「何いってるの! スケベは万国共通の売れるコンテンツじゃない!」

老人「それをするなら、未成年のいない企画でお願いしやすぜ。俺だって苦労してるんです。本当だったら人んちに馬の首ひとつや二つ置いていくのがマフィアだってのに。無意味に残酷描写をするとすぐ規制にひっかか......」

セレア「あのなぁ、無意味なエロ、グロって素人作者のやってしまいがちなミスじゃぞ? そういう安直な描写は避けた方がよいのはわかってるじゃろう! 健全なコンテンツを目指すわらわがどれだけ迷惑してるか」

タニカワ教授「君もこの前色っぽいことやってたじゃないか」

セレア「大事なところは見せてないからセーフのじゃ!」

解剖鬼「セレア。お前はお前で壊れる描写を生々しくするのやめろ。下手すると猟奇のジャンルに走ることになるぞ」

ルビネル「そういえばセレア、あなたセルフ触手できるって噂聞いたんだけど本当? 新ジャンル開拓できるんじゃない?」

セレア「おまわりさん! こっちです! 変態がたくさんいます」

クロノクリス「すいません、一周年記念メタ会話大会の会場はこちらですか」

老人「おまわりさんじゃなくて、極悪犯がきましたぜ」

解剖鬼「お前も指名手配中だろ」

クロノクリス「あなたもですよね?」

ルビネル「あなた、だぁれ? 会場間違ってるんじゃないの?」

タニカワ教授「コラ、授業で習っただろ。自分の策と軍事力に溺れて油断して不意を突かれたあげく惨めな最後を遂げるタイプの悪者の筆頭だって」

クロノクリス「最近は演説をする暇すらなく殺されました。せちがらいものです」

老人「その部下は廊下で転んでお陀仏ですぜ?」

解剖鬼「戦闘中におしゃべりする奴なんか実際どこにいるんだ。戦闘の緊張感が台無しだろう」

スペクター「私だ」

セレア「いたのじゃ......」

エアリス1「そういえば」

エアリス2「そうだったな」

セレア「お主らいたのか」

ルビネル「戦闘中の会話はテレパシーにして、一瞬で意思疏通できるようにすれば万事解決よ? その代わり寿命が7日くらいに減ったけど」

クロノクリス「有利なときに煽るのは以前にもやりましたよ。数分後には棺桶の中ですが」

スミレ「まともな人がいない......」

解剖鬼「ルビネルをもとに戻すためにオーバーロードしたっていう裏設定もあったな。結局紹介しなかったが。ちなみに私は心のなかで叫ぶタイプだから生き残れてる」

老人「必要のない設定は明かさない主義ですからね、うちは。まあ、実のところ隠してるんじゃなくて決めるのが面倒なだけなんですが」

ルビネル「そうそう、お陰で知らぬ間に設定ができて、そして脳内で没になる......。そして私は家族構成すら決まってない」

スペクター「あ、没と言えばスミレのあの設定はどうなったんだ?」

クロノクリス「あの設定、とはなんでしょう?」

スミレ「アンドロイドに魔改造される設定」

セレア「はぁ!?」

解剖鬼「ふぁ!?」

カサキヤマ少年「ええ!?」

ジョン「......この子だれ?」

クラウド「お前が言うな」

カルマポリス豆まき大会!(続かない)

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カルマポリス豆まき大会へようこそ。私は死の水先案内人ミィです。これから皆様を豆まきの会場にお連れしますね。

カルマポリスの豆まきは特殊呪詛銃M99と豆型ペイント弾を使ってのサバイバルゲームになります。

昔鬼とアルファ兵器が戦ったとされる歴史が発祥となってます。物騒ですね♪

鬼組とアルファ組に分かれて1時間でkillした人数が多いチームの勝ちとなります。あ、もちろん死ぬって言うのはゲームでの話で実際には服が汚れるですからね。......えへへ。

ペイント弾を一定量浴びると撃たれた方の銃がオートロックされ、使用不能となります。その後、止めを刺したチームに1ポイント加算されます。得点は呪詛探知機を介して自動計数機で自動計算されます。お会場の至るところに呪詛探知機が仕掛けられてるからどこで死んでも安心です! 因みに残りどれくらい浴びたら死ぬのかはお手持ちの腕時計型の機械でご確認ください。

場所はカルマポリス郊外の大平原。試合時間は一時間で十分経過するごとにフィールドが狭まります。フィールドから出たら人生にピリオドを打つことになるので気を付けてくださいね。

フィールドにはM99の他にも武器やマガジンが落ちているのでよく探してみてください。民家はこの日のために簡易的に作られたものなのでガンガン侵入して物品を漁ってくださいね。運が良ければ復活アイテムも落ちてますよ!

死んだ人からアイテムを奪うこともできるので、ガンガンぶっ殺しちゃいましょう!

では、死合に参加する方はこちらのバスにのって移動してください。

チケットが入手できず、試合に参加できなかった人の分も全力でやりあってくださいね! 血で血を洗うような激しい戦いを期待しています!

なお、大会中は呪詛や魔法使用や直接の接触行為、指定された道具以外を使っての罠を張るなどの妨害行為等を禁止しています。各エリアに審判が潜伏しているのでワルイコにはすぐお仕置きしちゃいますよ!

では、はじめっ!



ルビネル(ダメ元で応募したら見事に受かるとはねぇ......)

キクリ(参加できなかったヒリカの分も殺さなきゃ)

セレア(ガトリングガン! 何でこんなのが民家に落ちているのじゃぁ!?)

ライン・N・スペクター(ショットガンだがマガジンがない。とりあえず拾っておくか)

解剖鬼(開始五分で撃たれた。やはり中身では限界があるか。残り体力は6割といったところか......って! ペイント刀!? なんだこれは)

スミレ(......狙撃用意)

タニカワ教授(これは......M45サブマシンガン!軽い。折り畳み式で携帯性にも優れる。握りやすいグリップ。よく磨かれた銃身。なるほど、日頃の鬱憤を晴らせということか)

老人(地雷ッ! いいもん見つけましたぜ!)

クロノクリスvs四国連合

 私の持つ左右10の指輪には各々一人ずつ妖怪の魂が込められており、それを用いることで肉体の制限を無視して呪詛を行使することができる。
 主に左手には自動で発動するものを、右手には自分の意思で発動するものを装着している。
 基本戦闘で意識するのは右手の能力である。


 左親指 鬼力<ジ・オーガ>
 自分の筋肉の質を操ることで鬼の筋力と力を得る呪詛。

 左人差し指 大出力<オーバーアウトプット>
 呪詛の出力を引き上げ、同時に複数の呪詛の発動を可能とする。

 左中指 自呪癒<リカバリー>
 常時大気中の物質を呪詛に変換し、呪詛の枯渇を防ぐ。

 左薬指 銃器<ガンマスター>
 銃器を使いこなすことができる呪詛。

 左小指 飛行<アンダースカイ>
 空を飛ぶことができる呪詛。


 右親指 隕石<パニッシュコメット>
 場所を指定し三秒後に隕石を落下させる呪詛。

 右人差し指 引力・斥力<グラビテーション>
 対象を指差し、上下左右に振ることでその方向に吹っ飛ばす呪詛。

 右中指 粒子化<WORTH AIR
 認識した攻撃を、肉体を粒子と化すことで完全に回避する呪詛。

 右薬指 超重力<EARTH GLAVITY>
 自分を中心に半径300メートルに超重力を発生させる呪詛。


 そして私本来の能力である、右小指 魂を操る呪詛。


 これが今ある私の能力だ。各地の隠れ家を回れば他にも強力な武器は存在するのだが、その余裕はない。そして、たしかに強大ではあるのだが、この力をもってしても世界の兵どもを相手にするのは困難だと私は実感していた。私の息子もそれを察して、誰も寄り付かないような森林地帯を切り開き、研究の拠点となる塔を建てた。そのためにずいぶん木材も使ったので森の霊どもから怒りを買っているようだが些細なことだ。
 さて、なぜこれだけの力を持っていても過信してはならないのか。それは今から説明するような規格外と呼ばれる存在が世界にあるからだ。この者たちがいなければ、私は木の枝の上で息を潜め獲物を待つなどということは決してしない。


 「......来ましたか」


 ハサマ王は白い髪の毛をした可愛らしい中性的な子供の姿をしているアルビダだ。見た目こそシャツにパーカーにジーンズとチュリグの庶民的服装だが、チュリグ国を統べる王である。エルドランで子供による最強論争になると必ず呼び名があがってくるほどの大妖怪だ。地震や地盤隆起・沈下、雷、嵐を操り、実際に彼に歯向かった国が<天をも穿つ閃光の一撃 ゲイボルグ>によって何ヵ国か消し飛ばされていた。
 リリィという少女がいる。地面に垂れるほどの長い黒髪持ち、ほんの少し地面から浮いて移動するらしい。頭部の左右から伸びる角が特徴的。もちもちの肌でその道の奴なら確実に飛び付きそうなゴシックな服装をしている。が、その見た目にそぐわぬこの世の汚物を全てかけあわせたような不気味な気配は見るものを圧倒する。呪詛喰らいで、その特性から呪詛を完全に無力化する能力を持つ。
 サラトナグはルウリィド国のなかでも盟勲精霊と呼ばれる特別な精霊だそうだ。植物と対話し、操る。ただ、聞くところによるとその規模が違う。一説では森全体を操るとまで言われている。単なる噂に過ぎなければいいのだが。


 「それにしても......厄介ですね」


 そんな、この世界を左右するような力を持つ圧倒的な存在がスコープに映っていた。解剖鬼がやられた情報を何らかの手段でハサマ王が知ったのだろう。あの王は即決断即実行を平然と行う果断にとんだ性格としても知られている。
 ハサマ王、リリィ、サラトナグ。一人でも相手にしたら苦戦は免れぬというのにご丁寧に三人一緒で、しかもハサマ王が作り出した竜巻で飛行しながら、私の拠点へと高速接近してくる。乗り越えられる試練を神は与えると言っていた人がいたが、神自身には不可能を可能とする試練を押し付けるらしい。
 スコープ中央に描かれた十字の中央にリリィの頭部を合わせる。呪詛が効かない相手はなんとしてでも消さねばならない。
 私は狙撃銃の引き金を引いた。その瞬間、なにもない空間に突如として穴、としか言い様のない何かが発生し弾丸が飲み込まれてしまった。二三発と打ってもすべてそれによって阻まれてしまう。ハサマ王とサラトナグは銃声の方角を確認しつつ、リリィを守るように移動した。
 私は仕方なく作戦を変更、呪詛を発動する。三人は突然墜落し森の中へ消える。たとえ竜化した竜人ですら動けなくなる超重力の呪詛〈EARTH GLAVITY〉である。解剖鬼に使ったものとは違い対象ではなくエリアに作用するタイプの呪詛だ。発動時、私を中心に半径300メートルに展開する。
 さらに、空から光の珠が空から落ちてきた。まばたきをする間に三人が落下した場所に着弾する。大きな爆発音が耳をつき、地響きがここまで伝わってきた。念じてから三秒後に小型隕石を呼び寄せる呪詛〈パニッシュコメット〉。
 動けない相手に隕石を叩きつければ大抵の相手は死ぬ。が、敵の面々は並大抵のことで死ぬようなものではない。


 「ウロボロス・カルマポリスの軍事技術を蓄えて置いたのは正解だったようですね。苦労して密輸・改造した甲斐がありました......」


 森の中を暴風が吹き荒れた。凄まじい速度で接近してくる何かの気配を感じる。位置がわからないので狙撃ができない。私はスナイパーライフルを背中に背負うと森を移動した。一応、あの二人は攻撃に気づいた。スナイパーライフルの存在は森の上空を安易に飛べないという圧力にはなっているはずだ。空に飛んだ瞬間狙撃されるのは敵も十分承知のはず。
 と、考えていると突然私の周りを竜巻が囲った。ハサマ王による遠距離攻撃! 場所がばれた原因として考えられるのは呪詛の発動が原因だろう。重力の呪詛は私を中心に展開する性質上、発動直後は遠ざかるほど効果が少し弱まっていく。数秒で均一に展開するはずだが、その一瞬の隙に発生源を逆探知されたようだ。
 だが、神にはこんな目眩ましは効きはしない。粒子化<WORTH AIR>は私が認識した攻撃を肉体を粒子と化し全て無力とする。私は竜巻をすり抜け、続いて落ちてきた雷の中を悠々と潜り抜けた。呪詛の発生源の探知を利用した索敵は一度だけだ。この場所から動いてしまえば問題ない。
 私はハサマ王によって引き起こされた突風を浴びながら、森の中を移動していく。何の前触れもなく、飛行能力を失い地面に落下する。なんとか着地したものの、突如として生えた蔦が足に絡まり前のめりに転ぶ。顔面を泥で濡らし、無様な醜態を晒す。
 見上げると、目の前の大木の枝の上から、黒く金糸を施しているマジシャンコートに身を包んだ青年が見下していた。黒髪の狭間から覗く、黒々としたタレ目が私を睨んでいる。精霊、サラトナグだ。森のじめじめした臭いにわずかに甘ったるさが混じる。


 「なぜ、私の居場所がわかった?」

 「ハサマの風にのせてサラトナグが産み出した種を君にくっつけたんだ。鼻の効く動物が臭いをたどるみたいに追跡できるからね」

 「古き考えに縛られる愚かな精霊ごときにここまで私が追い詰められるとは......」


 隣にハサマ王が並ぶ。そのハサマ王に付き添うように姿を現した少女はリリィだ。
 私は何とか起き上がり、袖の中からハンドガンを取りだしリリィに向けた。あいつを殺れば逆転できる。その目論見はまたしても発生した、謎の黒い裂け目によって防がれた。三発の銃弾は闇へと消える。
 その黒い空間が消えると同時に、不可思議な人物が現れた。右ほほから左こめかみをおおうような奇っ怪な仮面をつけた道化師がケタケタと笑っている。眼が白黒逆転しており、とても不気味だ。その上極端な猫背で身長が二メートル以上ある。そんな奴は世界中を探しても一人しかいない。コルトと呼ばれる妖怪だ。
 私は瞬時に思い至る。黒い空間がこいつの口であったことに。笑うときに見えた口の中の空間が先程の穴と同じものだったのだ。そう、彼の能力は何でも食うこと。有機物も無機物も、そして魂さえも食らう、まさしく化け物。


 「レロンレロンレロンレロンレロンバァ~!!」


 道化師は逆立ちを始め、その状態で長い舌をグルグルさせている。癪にさわる笑いかただが無視する。ここで冷静さを失えば終わりだ。


 「連れてきた甲斐があったね」


 ハサマ王の声が聞こえる中なんとか立ち上がった私だが、突如全身がしびれ地面に伏した。体の中で暴走した電流が暴れまわり悶絶する。全身の筋肉が誤作動を引き起こし、地面を跳ね回った。私は死ぬ思いで白髪のアルビダを睨み付けた。ぐっ......ハサマ王め。せめて殺してくれれば霊となり乗り移れるものを。


 「リリィやったの!」


 背後に目をやると、ゴシック風味の少女が満面の笑みを浮かべている。
 呪詛喰らいであるリリィの視界のなかでは、私の呪詛は無効となる。そこで、ハサマ王とサラトナグは彼女の視界に入るように動いたのだ。これでは<EARTH GLAVITY>による範囲攻撃も全く効果がない。さらには私自身が彼女の視界に入ってしまったために、指輪がすべて無力化されてしまった。つまり、今の私は神たる力を失った単なる人に過ぎない。


 「人が愚かであることは......」

 「五月蝿い」


 2発目の雷が私を貫き言葉を遮った。痙攣する手足をどうすることもできない。


 「えらいね。このまま食べちゃっていいよ。もう復活しなくなるからさ」


 その横で物騒なことを呟く白髪の王。コルトがそのとなりで長い舌を振り回しながらニクニクニクニク......と意味不明なことを呟いていた。
 今も私はリリィによって呪詛を吸われ続けている。もはや私の力は風前の灯火だ。なんとか呪詛で抵抗しているものの、呪詛がつきれば彼女は私の生命力をも食いつくすだろう。
 私の敗北の原因は呪詛を無力化する存在を相手にすることを想定していなかったことだ。全国を探しても呪詛を消し去るなどということができる妖怪はいなかった。......彼女を除けば。


 「最後が可憐なお嬢さんのお腹の中だなんて、身の程知らずには勿体ないよねぇ」


 端麗な身なりの青年が私を指差すと、地面から這いずってきた植物の蔓が私の体を飲み込んでいく。最初に四肢を拘束し、次に目と口をふさがれ、全てが植物に飲み込まれていく。想像以上に応用の利く力だ。この極限の状況下で冷静に分析できる程度には成長したらしいが、私はどうやらまだまだ甘かったらしい。
 全身の激痛に血の色をした脂汗が吹き出した。皮膚に深々と蔦が食い込み、さらなる苦痛を呼んだ。痛みに悶えようともからだの自由はすでになく、私はただなされるがまま悲鳴をあげる。そんな私の後ろで道化師が奇怪な笑い声をあげている。


 「クケクケケ。オマエ俺オマエオレ前オレ......クケクケケェ!!クケクケクケクケクケ!!」

 「あんまり動かないでよ......間違って絞め殺したらいけないんだからさ......。それにしても、何をしたら森にここまで嫌われるんだろうねぇ......」


 黒髪の少年がため息を吐きながら言った。そこに一切の感情は感じられない。


 「んんーーー!!? ん゙ん゙ン゙ンッッッ!」

 「棺桶の心配はしなくていいよ。ハサマが雷で跡形もなく消し去ってあげるから!」


 全てが闇に閉ざされる寸前、辺りは突如として閃光に包まれた。リリィの悲鳴が聞こえた。


 「眩しいのぉ!?」


 解剖鬼からくすねて、胸に仕込んでおいた閃光弾を起動させた。その瞬間、リリィの視界を奪ったことで一時的に私の呪詛が復活した。植物の蔓を解剖鬼にも使った引力・斥力の呪詛で弾き飛ばす。


 「私はクロノクリス。唯一にして至高の存在。私がここで退くわけにはいかない。私はこの世界を束ね、導く使命がある。万物は我の下に在ると知れ!」


 スローモーションで世界が動く。
 まず<パニッシュコメット>と<EARTH GLAVITY>を発動する。直視は腕を使い避けたものの、目が眩んだハサマ王とサラトナグ。目を閉じて前に倒れこむリリィ。そして、平然としているコルト。私は黒髪の少女の頭に銃口を向けた。が、リリィのポケットから伸びた蔓が銃弾を防いでしまう。もう一度引き金を引こうとした瞬間、ハサマ王が突風でリリィを吹き飛ばしてしまった。
 私は仲間を守るために無防備になったハサマ王に向かって引き金を引く。銃弾は突如としてハサマ王のポケットから生えた蔓によって防がれた。リリィのものと同じ......恐らくはサラトナグから渡された種子による自動防御。蔦はハサマ王を守るために全身を覆ってしまった。厄介な。
 そして、<パニッシュコメット>はあろうことかコルトの口に収納されてしまった。
 まだだ、まだ私には他の能力が......


 「......これは一体どういうこと......ですか......」


 ボトリ、とハンドガンが苔の生えた地面に落ちた。
 ハサマ王を包んでいた蔦が黒い墨を残して焼失していた。そして、私の胸の辺りがまるまる焼失してしまっている。蔦で防御するように見せかけ、ハサマ王の攻撃の挙動を隠していたのだ。私の認識よりも早く攻撃が命中したため、粒子化<WORTH AIR>も発動しなかった。この攻撃は<天をも穿つ閃光の一撃 ゲイボルグ>か......


 「......この世界を導くことができず......無念です」


 私は全てを悟り瞳を閉じた。植物が私の体を包み蝕んでいく。これから絶え間なく逃れようのない苦痛が私を襲うのだろう。だが、私は霊と化し肉体を捨て他者を乗っとることができる。私の魂を操る能力は抜き取り操るだけではない。自分の魂ですら支配下に置くことができるのだ。
 私は全身がバキバキに骨折した肉体を抜け出し、ハサマ王の生気溢れる肉体へと潜り込む! この肉体から解放される瞬間の解放感がたまらない。


 「重力の呪詛で消耗した今のあなたであれば、精神まではいかずとも肉体を支配するのは容易。これこそが私の狙いです」

 「なっ!?」


 サラトナグが事態を察して攻撃体制に移った。だが、私はハサマ王の風を操る力で、私の遺体から10の指輪を引き寄せた。サラトナグの蔓はハサマ王の肉体をすり抜け宙を切る。さらに背後から追撃してきたコルトを地面を隆起させることで遥か上空に飛ばした。


 「私を誰だと思っている! ただの妖怪ではない! ハサマだ!」


 超重力により地面を這いつくばるサラトナグに対して必殺の一撃を構える。
 私に操られたハサマ王は両手の手のひらを合わし、ゆっくりと開いていく。なにもなかったはずの空間に、恐ろしい量の雷を収束したエネルギーの塊が現れた。


 「この森ごと枯れ果てるがいい!」


 まさに呪詛を解き放とうとしたそのとき、視界の端からなにかがよぎった。


 「ダメなのーっ!!!」


 瞬間、私の魂の力が急激に失われる。これでは霊体を維持できない! 私が......消える!?


 「まさかッ! リリィ! 戻ってきて......」


 私に肉体を乗っ取らせたのも確実にリリィの呪詛喰らいを発動させるための布石......! そして奴は呪詛喰らい故に超重力を含めた呪詛が一切効かない!


 「慌てた演技上手だったでしょ。リリィを遠くに飛ばしたように見えた? そんなミス、ハサマがするわけないじゃん。最後に一つ言っておくよ」


 幼子に向ける笑みでハサマ王はいい放った。


 「君を殺したのは<天をも穿つ閃光の一撃>じゃないよ。ただの雷。君ごときに名前のある技をハサマが使うと思う?」

 「ギヤ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙アアアア! ヌァァガガガガガ!!」


 自分の声とは思えぬ叫びを何度もあげているうち、私の意識は深い闇へと葬り去られた。